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2007年03月31日(土) 00時00分

県議選告示、38議席63人争う朝日新聞

 統一地方選前半戦の県議選は30日告示され、9日間の舌戦が始まった。16選挙区(定数38)に立候補したのは63人。1983年以来、24年ぶりに全選挙区で選挙戦となった。朝までの雨もやみ、青空の下、候補者たちは咲き始めた桜を横目に選挙カーを南へ東へ、街へ集落へと走らせた。改革、刷新、実績といったおなじみの呼びかけが街を行き交った。投開票日は4月8日。

 今期から区割りで、中央市・中巨摩郡選挙区が誕生するなど大幅に変更された選挙区が目立つ。定数は4減ったが、再選を目指す現職は28人にとどまる。地盤とする候補者がいない地域では各陣営の熱のこもった訴えが聞かれた。選挙区によってはやはり無党派層の動向がカギを握るとあって、支持を広げるのに必死だ。

 ■甲府市 最多13人しのぎ削る

 立候補したのは全選挙区で最多の13人。各政党の公認候補に無所属がしのぎを削る。「知事選絡み」では山本栄彦前知事を支援した現職5人に対し、現新4人は横内正明知事を支持する姿勢を明確にしている。

 「新しい感性を県政に吹き込んでほしい」

 横内派の新顔の第一声。横内知事からのメッセージが代読されると、集まった支持者が歓声を上げた。運動員の一人は「風をもらった」と声を弾ませた。

 別の横内派の新顔の陣営関係者も「追い風は感じる。訴える政策も、県政直結だから説得力が出る」と言う。知名度を上げるため、候補者は終日、選挙カーで地盤でない地域まで遊説して回った。

 一方、山本前知事を推した現職で「当落線上」と自覚する候補者もいる。ある現職の出陣式では、「厳しい選挙」という言葉を繰り返した。応援に来た宮島雅展・甲府市長も「新人も多く、混沌(こん・とん)とした選挙。最後まで支えて、勝たせてあげてほしい」と激励した。

 別の現職は第一声で、あえて横内知事について触れなかった。支持者の自営業男性(66)は「『負け組』という言葉も聞くが、実績ある現職だから影響はない」と冷静だった。

■大月市 「代理戦争」2氏激突

 知事選で山本前知事を推した「負け組」の現職・棚本邦由氏と、横内知事を推した前市議の萩原剛氏が対決。定数1減で、1議席を2氏で争う。

 前哨戦から「怪文書」が出回るなど熱を帯びていた。選挙戦の幕開けとなる30日、棚本氏は、「安心・安全を全力で!」ののぼりが立ち並ぶ同市大月町の選挙事務所裏の駐車場で出陣式を開いた。

 棚本氏は、小児医療問題などに取り組んできた実績をあげ、「非常に苦しい戦いだが、みなさんの後押しを受けながら、初心に返って全力で走ります」と支持を訴えた。

 一方、萩原氏は同市御太刀2丁目の選挙事務所前で出陣式。こちらは「知事へ直結!」などの、のぼりが並ぶ。

 「知事選勝利」の後に各方面から推す声が掛かったとする萩原氏は医療や道路問題などを挙げ、「郡内と国中の格差是正のために立候補を決意した」などと訴えた。

 2氏の対立は、「代理戦争」の様相を呈している。一つは05年衆院選2区の「刺客劇」。衆院議員の堀内光雄氏は棚本氏にメッセージ、長崎幸太郎氏は萩原氏に電報を寄せた。さらに8月に任期満了となる市長選も絡み合う。西室覚・現市長は萩原氏を、県議を今季限りで引退し、市長選に意欲を示す相馬紀夫氏は棚本氏を推している。

■西八代郡 「知事派」同士の対決

 知事選で横内知事を推した「横内チルドレン」同士で1議席を争う。

 丹沢和平、秋山豊彦の両氏とも、「『知事と共に』まちの活性化に取り組む」とアピール。両陣営の事務所には横内知事からの為書も張られている。

 両氏とも初日は、選挙区内を細かく回った。午後3時ごろには、交差点で鉢合わせし、「ご健闘を祈ります」とエール交換をした。

 丹沢氏は県庁での約40年にわたる行政経験を強調し、「即戦力」と売り込む。事務所には培った人脈の広さを示すように、県関係の国会議員や県議からの為書が天井にまで張っている。

 秋山氏は、県議と町議の経験を挙げ、「地域の人のために働きたい」と訴え、有権者への浸透を図る。15年ぶりとなる復帰に理解を求め、「誰にも負けない行動力がある」と支持を求める。

 両氏とも手を振る有権者を見つけるとすぐに車を止めて駆け寄り、握手して回った。有権者からは「どちらかが知事を推していなければ選びやすかったんだけど」といった声が聞かれた。

http://mytown.asahi.com/yamanashi/news.php?k_id=20000000703310005