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2007年03月31日(土) 00時00分

郷土の明日 誰に託す朝日新聞

 「変革」「福祉」「活性」・・・訴え

 統一地方選の前半戦、県議選が30日告示された。官製談合事件で前知事が逮捕・起訴されるという不祥事を受け、県政のチェック機関としての県議会の役割が問われる選挙。14選挙区(定数46)に57人が立候補を届け出た。内訳は現職39人、元職4人、新顔14人。党派別では、自民25人▽民主2人▽公明4人▽共産5人▽社民1人。無所属は20人だった。8選挙区で定数と同じ人数しか届け出がなく、17人が無投票で当選を決めた。8選挙区の無投票は91年と並び戦後最多。

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 激戦模様、40人「春の陣」

 和歌山市、田辺市、紀の川市、岩出市、西牟婁郡、東牟婁郡の6選挙区は選挙戦となった。29議席を計40人で争う。党派別では自民12人、民主2人、公明4人、共産3人、社民1人、無所属18人。30日朝、立候補を届け出た候補者らはそれぞれ出陣式を開催し、街頭などで支持を呼びかけた。4月8日の投票日に向け、9日間の舌戦を繰り広げる。

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 演説・集会、19人が舌戦

 ■和歌山市

 和歌山市選挙区(定数16)には現職12人、元職3人、新顔4人の計19人が立候補を届け出た。立候補の受け付けは、午前8時半から県庁北別館であり、くじで届け出順を決めた。それぞれ選挙カーなどで市内を駆け回り、夜には各所で集会が開かれた。

 朝の出陣式で、現職候補は「去年、前知事と県庁上層部の不祥事があった。行政の責任はものすごく重い」と官製談合事件に言及し、「なれあいの議会を変えていかなければいけない」と訴えた。

 正午、元職候補が県庁前で街頭演説。「和歌山は決して可能性のない地域ではない。この地域を変えていきたい」と声を上げた。

 午後1時過ぎ、新顔候補は市内のショッピングセンター前で演説。「県にはお金がないわけではない。大企業を誘致するためには、最大100億円を補助する制度もある。県にないのは福祉の心だ」と県を批判し、医療・福祉行政の充実を訴えた。

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 無投票当選8選挙区17人

 無投票は14選挙区のうち半数以上の8選挙区。前回より2選挙区増えた。約30万人の有権者が1票を投じる権利を行使できなかったことになる。海南市・海草郡(定数3)▽橋本市(同2)▽有田市(同1)▽御坊市(同1)▽新宮市(同2)▽伊都郡(同2)▽有田郡(同3)▽日高郡(同3)で計17人が当選した。党派別では自民13人、共産と無所属が各2人。新旧別では現職16人、新顔1人。

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 重点政策実現を約束/新顔の平木氏

 ■橋本市

 橋本市選挙区は前回に続く無投票。自民現職の向井嘉久蔵氏(69)と無所属新顔の平木哲朗氏(50)が当選した。

 平木氏は新顔では唯一の無投票当選。選挙カーで遊説中に当選の知らせを受けた。橋本市市脇4丁目の事務所近くの駐車場で開かれた当選報告会には、木下善之市長や同市議時代の仲間らが祝福にかけつけた。

 平木氏はジュースで乾杯した後、「生きがいを持って暮らせる社会の推進」「地元経済の活性化」など選挙期間中に訴える予定だった五つの重点政策の実現を約束。官製談合事件で問われた議会のチェック機能について、「情報公開の徹底が必要」と話した。

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 ともに「戦後初」

 ■新宮市

 ■有田郡

 新宮市選挙区は、同選挙区では戦後初の無投票になった。いずれも自民現職の下川俊樹氏(63)と須川倍行氏(46)が当選した。

 前回は自民、共産の現職と無所属新顔2人の計4人の争い。今回は、議席奪還を目指すとみられた共産党が候補者擁立を見送った。杉原弘規・同党市委員長は「(無投票回避を望む)市民の声に応えたかったが、党内調整がうまくいかなかった」と打ち明ける。

 無投票について、現職陣営からは「選挙になれば4年間の評価もわかるし、後援会がまとまったのに」と残念がる声がある一方、「県への陳情などを考えれば、自民2議席の状態でいい」と市幹部の1人は本音を漏らした。自営業の女性(60)は「自民以外が議席を獲得しても地域へのメリットが期待できるわけでもない。無投票は仕方ない」と話す。

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 有田郡選挙区も初の無投票。79年から前回までは7回連続して、定数3に対し4人が立候補する少数激戦だったが、今回は共産の松坂英樹氏(46)、無所属の松本貞次氏(58)=民主推薦、自民の吉井和視氏(55)のいずれも現職3人だけの立候補となった。

 初の無投票について、当選した1人は「地方議員を志す人が少なくなったからでは」と話した。

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 2議席巡り 5氏第一声

 ■東牟婁郡

 東牟婁郡選挙区では、自民現職の小原泰氏(54)、無所属新顔の中村紘一郎氏(66)、自民現職の前芝雅嗣氏(58)、同じく谷洋一氏(58)、無所属新顔で民主推薦の清水和子氏(60)が立候補した。2議席を5人で争う激戦となった。いずれも初日から選挙区内を駆けめぐり、支持を訴えた。

 合併で田辺市になった旧本宮町から那智勝浦町に転居した小原氏は、「(田辺ではなく)東牟婁を選択した。発展の役に立ちたい」と第一声。

 中村氏は午前10時、同町の事務所前であいさつ。「唯一、(政党の)しがらみがない。この南紀、中村なくして変化なし」と変革を訴えた。

 前芝氏は串本町内で出陣式。町議らの応援演説後、「観光を紀南の一次産業と結びつけ、紀南一帯が一緒になって活性化を」と力を込めた。

 谷氏は那智勝浦町の事務所敷地で第一声。地域医療問題などに触れ、「10年、20年先を見なければ。皆さんの声を県政に届けたい」とした。

 清水氏は串本町西向で出陣式。「政治を住民の手に取り戻す。母は強し。お母さんの視点で頑張りたい」と訴えた。地元町長も駆けつけた。

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 対立候補出ず 中村氏6選

 ■御坊市

 御坊市区で当選した自民現職の中村裕一氏(47)は、初当選した89年の補選を含め、6回連続無投票で当選となった。

 午後5時過ぎ、御坊市薗の事務所で「選挙で楽をさせる分、仕事できっちりお返しをしろという市民の激励と受け止めている」と感謝し、「経済を発展させ、ふるさとに残りたい若者が残れるふるさとづくりに取り組む」と決意を述べた。

 御坊市は二階俊博衆院議員の地元。その二階氏の秘書だった中村氏が市議から県議へ転身して以後、対立候補はひとりも出ていない。

 今年1月の市議選で3議席獲得の躍進をみせた共産党も候補を擁立できなかった。楠本文郎市議は「まだまだ力量不足だ」と話した。

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 すさみ町長選の説明会に3陣営/統一選後半戦

 任期途中での退任を表明した桂功すさみ町長(82)の後任を選ぶ同町長選の立候補予定者説明会が、30日開かれた。すでに立候補の意思を表明している美術家の内田英雄氏(58)、元県議の前川勝久氏(61)、元町職員の橋本明彦氏(46)の3陣営が参加した。

 町長選は統一地方選の後半戦で実施される町議選と同じ日程。4月17日告示、22日に投開票される。

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http://mytown.asahi.com/wakayama/news.php?k_id=31000000703310002