記事登録
2007年03月31日(土) 00時00分

重い格差 舌戦熱く/県議選告示朝日新聞

■4選挙区の8人 支援者前に喜び

 無投票が決まった「安芸市・芸西村」「土佐市」「黒潮町」「高岡郡」の4選挙区では、いずれも現職の8人が当選。支援者を前に喜びや感謝、今後4年間の県政への意気込みなどを語った。

 黒潮町選挙区では山本広明氏が2期連続の無投票当選。旧大方、旧佐賀両町を選挙カーで回った山本氏は、午後5時過ぎに黒潮町浮鞭の事務所に戻り、支持者約50人から花束や万歳三唱で祝福を受けた。山本氏は「短い時間だが地元を回り、色々な声があると再確認した。これからも気を緩めることなく県政に取り組む。重要課題が山積しており、県議会の役割はますます重要。今後とも頑張りたい」と述べ、大きな拍手を送られた。

 安芸市・芸西村選挙区では、樋口秀洋氏が午後5時過ぎ、無投票当選の知らせを受け、安芸市矢ノ丸の事務所に戻った。集まった約20人の支持者らに「みなさんが私を信頼してくれたおかげ。その答えをこの4年間で出さなければと身が引き締まる」とあいさつ。「高規格道路の建設は県東部の悲願。安芸市街地部分の一日も早い着工をめざし、国や県に働きかけていく。また医療過疎解消のため、東部の拠点病院づくりを進めたい」と抱負を語った。

 そのほか、土佐市選挙区では中内桂郎と森田英二の2氏が、高岡郡では結城健輔、武石利彦、田村輝雄、佐竹紀夫の4氏がそれぞれ当選を決めた。

■有権者の声

 高知市帯屋町1丁目の洋服店長、植田淳也さん(27) 「商店街の人通りが少ないのは本当に寂しい。客を呼び込むための店側の努力は必要だが、限界もある。もっと人の流れが中心市街地に移るように、県などの管理する駐車場を曜日限定で無料化するなどの方策も考えて欲しい」

 四万十町若井川の農業田井徳美さん(56) 「世界的に農産物価格の変動が激しく、最近の農業を取り巻く情勢は厳しい。農家の収入は減ってきており、優遇策も一定の農業者に集中している。きちんとした農業政策を望みたい」

 高知市御畳瀬の漁師、川渕順二郎さん(65) 「候補者は選挙中は良いことを並べるがその後は音さたなしだ。年金をもらっても介護保険料をとられる。魚は安く、燃料代は高くて生活できず、後継者もいない。漁師の厳しい生活を考えてくれる候補者はいるのか」

 安芸市本町の酒販店経営松本須美子さん(81) 「安芸市は無投票になったが、有権者の声を反映させるためにも投票したかった。年寄りにとって医療は大きな関心事。県東部は急患が出ると高知まで救急車で運ぶという医療過疎地帯で、安心して通える医療拠点を作る努力をして欲しい。娘夫妻も4年前に帰ってきたが、都会との格差を目の当たりにしている。若者が定住できる町づくりへの指標を示して欲しい」

 四万十市具同の無職西岡敏夫さん(82) 「国が福祉政策をおろそかにしているので地方で補ってほしいし、県議会も市立市民病院の医師確保に尽力してもらいたい。また、高レベル放射性廃棄物最終処分場問題で東洋町長の暴走を止めてくれる人に投票する」

 高知市薊野中町のアルバイト、亀山幸代さん(21) 「アルバイトだけの収入では、生活が厳しい。正社員として働きたいという意欲はあるのに、働き口がない。そんな現状で税金を払えと言われても無理。様々な業種の誘致に力を入れ、就労機会を作ってほしい」

 高知市長浜の雑貨店経営、富田都夏査さん(48) 「観光と雇用についての政策を。観光客が高知に注目してくれるように、高知をPRしてくれる候補者を選びたい。自営業者の閉店や休業も多い。営業が続けられるように、商売人の目で政策を打ち出し、稼げる高知県にして欲しい」

■定数39に61人出馬/雇用対策・活性化訴え

 県議選が30日告示され、県内でも統一地方選挙の前半戦が始まった。16選挙区39議席に対し、61人が立候補。ほかに準備を進めていた1人は立候補を見送った。この日、4選挙区で計8人が無投票当選を決めた。雇用不安など中央との経済格差は拡大し、中山間地域の高齢化、高レベル放射性廃棄物最終処分場の文献調査地となった東洋町の今後など、数々の課題が山積する中、有権者はどんな判断を下すのか。前々回(99年)の選挙から過半数を割っている自民の獲得議席数は、今後の県政運営にも大きな影響が予想される。4月8日の投開票に向けて、舌戦がスタートした。

 立候補したのは、現職36人、元職1人、新顔24人の計61人。政党公認別にみると自民19人、民主3人、公明3人、共産6人、社民2人で、他の28人が無所属。無所属の候補者が前回(03年)の選挙より7人増えており、激戦の選挙区が増えている。

 立候補の届け出を終えた各陣営では、午前9時前後から出陣式が開かれた。

 定数15に対し、21人が立候補した高知市選挙区では、候補者らが「厳しい県内の経済状況が続く中、責任の重さを感じている。これまでの経験を生かし、さらなる県政の改革を進める」「地方切り捨ての現状にストップをかける選挙に」などと第一声。支持者らが「がんばろう」と声を上げる姿もあった。

 その後、選挙カーに乗り込んだ候補者らは街頭へ繰り出し、「県政を変える力を」「高知のために働きます」などの声が響いた。選挙カーを降り、有権者に握手を求めて歩く候補者の姿もあった。

 定数1に対し、元自民の現職1人、自民の新顔1人が立候補し、激しい選挙戦が予想される室戸市・東洋町選挙区でも、それぞれの候補者が、出陣式にのぞんだ。互いに東洋町の高レベル放射性廃棄物最終処分場問題について言及。両者とも批判的な立場から、「建設だけでなく、応募にも反対」「白紙に戻し、十分な協議を」などと訴えた。

 立候補の届け出は午後5時で締め切られ、安芸市・芸西村、土佐市、黒潮町、高岡郡の4選挙区で、8人の無投票当選が決まった。

■4会場で届け出 各陣営へ急ぎ足

 県議選の立候補の届け出は、午前8時半から午後5時まで、県内4会場で受け付けられた。

 高知市選挙区など7選挙区を受け持った県庁正庁ホールでは、午前7時すぎから候補者の代理人が集まり始め、開場時刻の同7時55分の時点で、すでに約20人がホールの前で待っていた。代理人たちは届け出順を決めるくじ引きや書類審査の後、腕章、旗などの交付物の入った段ボール箱を抱え、各陣営へと急ぎ足で帰っていった。

■「積極的投票を」 県選管委員長

 県選管の中越豊喜委員長は告示にあたり、「有権者の皆様におかれては、候補者の人物・識見をよく吟味し、積極的に投票に参加していただきたいと思います。候補者や選挙運動関係者の皆様には、ルールを守り、最後まできれいな選挙が行われますよう要望します」との談話を出した。

http://mytown.asahi.com/kochi/news.php?k_id=40000000703310002