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2007年03月30日(金) 00時11分

存続危機を乗り越えた「ばんえい競馬」が4月27日に幕開け 注目は史上初の現役親子騎手フジTV

北海道ならではの「ばんえい競馬」が、大きな曲がり角を迎えることになった。
重さ1トンを超える馬「ばん馬」が、最大で馬自身とほぼ同じ重量を引いて競い合う、北海道にしかない「ばんえい競馬」。
荒い息を吐き、立ち止まりながらも前進するばん馬の姿に、ファンは熱狂する。
観客の男性は、「ばーっていくよりも、これは入るぞってとこでぴたって止まって、リアリティーがあるじゃないですか」と話した。
2006年秋、存続すら危ぶまれていた「ばんえい競馬」に、2007年1月にデビューを果たした騎手がいる。
新人騎手・西 謙一さん(21)の父は、2,000勝を超える名ジョッキー・西 弘美さん(48)で、ばんえい史上初の現役親子騎手となる。
高校卒業後、迷わず父と同じ厩舎(きゅうしゃ)に入った謙一さんは、騎手になって初めて、父の大きさを感じたという。
謙一さんは「やっぱり騎手なる前は、そんなにあこがれてなかったですけど、騎手なってからは、そのすごさっていうのがわかってきて」と話した。
道内4つの市を転戦し開催される「ばんえい競馬」だが、およそ40億円の赤字解消のめどが立たず、2006年10月以降、帯広市を除く、旭川、北見、岩見沢の3市が相次ぎ撤退を表明し、一時は「廃止決定」とまで報じられた。
廃止問題に揺れる中、騎手試験を受けた謙一さんだったが、結果発表を待ちながらも不安をぬぐえなかった。
藤本 匠騎手は「存続にならなかったら、受かって免許をもらって、何カ月か乗って終わりだったもんな。廃止になってたら。切ないよな」と話した。
謙一さんは、「次の仕事考えてた」と語った。
そんな息子に、父・弘美さんは「馬しか、おれの場合はできないもんだから」、「なんてアドバイスしていいか...。まずはっきりするまで、なんでも一生懸命ばんばやって、それでだめだったら、そのときに考えようっていうことで」と話した。
ばんえい競馬の存続を求めて、騎手や調教師などは、署名を求め街角に立った。
そして、活動の盛り上がりが奇跡を呼び込んだ。
廃止から一転、「ばんえい競馬」は、ソフトバンクグループの支援で、帯広市単独の開催が決まった。
ソフトバンクグループは、支援のため、会社を新設し、新名貴之取締役は、東京の自宅を引き払い、年末から運営の準備を進めている。
オッズパーク・ばんえい・マネジメントの新名取締役は、「どうやったら盛り上げていけるでしょうかというアイデアと、役割分担というところで、全員参加型で盛り上げていくための施策を、どのようにやっていきましょうかと」と話した。
一方、帯広市側には、一抹の不安もある。
帯広市の砂川敏文市長は、「救世主が現れたんだから、もういいんでないかな安心して、ということになってくると、様子がおかしくなるんでないかなと」、「できることは全部、最大限やっていかなきゃならん」と語った。
18日、調教師や騎手など関係者を対象に開かれた説明会では、4月以降の具体的な方針などが示された。
赤字が続けば、再び廃止問題が持ち上がるかもしれないということで、50人以上の参加者からは、次々とアイデアが出された。
ある参加者は、「1,000円でも500円でも払って入れる、小ぎれいにしたスペースを作ってもらいたい」と提案した。
一方、今はまだ口を出せるような立場ではないが、謙一さんにも胸に秘めた思いがある。
謙一さんは「もっと若い人に来てもらえるようにして、そういう輪を広げていきたいですね」、「また昔みたいに、もっと活気のあるような、わいわいできるような環境になったらいいですけどね」と話した。
4月27日、「新生ばんえい競馬」が幕を開ける。
highlow highlow 2007/03/30 00:11

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