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2007年03月30日(金) 00時00分

シンドラー社呆れた提案…損害賠償請求放棄迫るZAKZAK

 東京都港区の集合住宅で昨年6月、男子高校生がシンドラー社製のエレベーターに挟まれ死亡した事故について、原因究明のために事故機のプログラムの提供を求める港区に対し、シ社が「開示内容に基づいた損害賠償請求をしない」とする契約を求めていることが30日明らかになった。あきれた条件に、住民からは「ふざけるな」との怒りの声が上がっている。

 港区は事故機の制御盤のプログラムを第三者機関に委託して解析するため、シ社に情報開示を要請していた。プログラムには企業秘密も含まれるため、シ社は同社の事前同意文書なしに第三者には秘密情報を一切明かさないという契約の締結を提案した。

 ところが、今年1月、区が第三者機関を決めてシ社に打診したところ、当初の契約にない「とんでもない」(港区関係者)条文を加えた、別の契約案が送られてきた。

 新たな条件は、シ社が提供する秘密情報に基づいて同社の不利益になるような行為はしないというもの。シ社に対する損害賠償請求も含まれ、仮に事故がプログラムの不具合が原因としても、賠償請求はできないことになるのだ。区側はこの条文の削除を求めている。

 24日の説明会でこの提案を聞いた住民からは、「ふざけるな」「強制的な法的手段はないのか」「もう訴訟を起こしてしまえ」など怒りが噴出。

 区側は「賠償請求しても立証責任はこちらにある。情報入手を最優先に粘り強く交渉したい」(総務課)としている。

ZAKZAK 2007/03/30

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007033018.html