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2007年03月30日(金) 00時00分

サッポロ株主冷え冷え…新買収防衛策“勝利”の総会もZAKZAK

大激突予想は肩すかし

 【厳戒態勢】

 過去最高となる81.3%の議決権が行使された29日の総会。買収を仕掛けられている最中の開催とあって、サッポロ側のピリピリムードは頂点に達していた。

 総会の会場は、東京都渋谷区の恵比寿ガーデンプレイス内にあるガーデンホール。当日は会場のみならず、恵比寿ガーデンプレイスの全敷地で取材活動が禁止された。会場から出てきた株主にぶら下がり取材しようものなら、係員がすぐさま制止。株主がちゃんと施設から出るまで、しっかり見張り続けた。

 総会は1157人の出席者を集めて午前10時にスタート。総会終了前の同11時40分ごろ退出してきた男性株主は、「今やっと第1部が終わったところ。くだらない質問が多すぎるので出てきた。『もっと大事な議案(新買収防衛策の導入)があるだろう』と一喝する人もいた」とあきれた様子で話した。

 サッポロは今回、議案に対する質問を一切さえぎらない方針をとった。そのため、7番目の議案となった新買収防衛策の導入にたどり着くまでにたくさんの質問が出て、“メーンイベント”まで時間がかかっていた。

 【冷たい視線】

 スティールは総会前、サッポロに対して株主情報の開示を請求。それをもとに、ダイレクトメールや電話を通じて株主に新買収防衛策に反対するよう呼びかけた。これが株主に不評だった。

 千葉県松戸市の50代の女性は「一方的に『否に丸をしろ』と送りつけてきた。とにかく乗っ取ろうという感じ。冗談じゃない」と不信感がありあり。

 横浜市の男性(64)も「知らない連中に個人情報を知られるのは気分が悪い」と話した。

 肝心のスティール側の出席者は代理人が1人だけ。サッポロとの大激突をイメージして出席した株主は肩すかしを食らった格好で、「出席者は多かったが、特に紛糾しなかった。例年とそう変わらない」(ある株主)との感想も出ていた。東京都八王子市の男性株主(59)は「スティールは今回は無理だと最初からあきらめていたのでは? しらけた」と途中で退出。ほかの株主からも「ちゃんと準備してこないのは、ホリエモンのように単にもうけて売り抜けたいからでは」との声が出ていた。

 ただ、株主が全員、サッポロ支持派だったかというと、そうでもなさそうだった。

 総会では、業績不振から抜け出せないでいるサッポロ経営陣への不満も噴出。特に宣伝や新商品開発に対する疑問の声が多く、タレントの石塚英彦氏や俳優の西田敏行氏を起用したCMについて「ビールはさわやかなもの。太ったタレントはイメージが悪い」と、女性株主から集中砲火を浴びる場面もあった。

 20年以上前から株主という東京都渋谷区の男性(80)は、「役員がろくに株を持ってないのはけしからん。アサヒビール(1株配当19円)やキリンビール(同17円)の配当に比べて、サッポロの5円は何事だ」と檄(げき)を飛ばしていた。

ZAKZAK 2007/03/30

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007033026.html