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2007年03月30日(金) 00時00分

船員が無断でフカヒレ売却 海洋高校の実習朝日新聞

 県立海洋高校(ひたちなか市)の実習船「鹿島丸」(495トン)の船員が、マグロ漁の航海実習中に捕獲したサメのヒレ(フカヒレ)を県に報告せずに業者に売却していたことがわかった。県教委によると、売却代金で、航海中に自分たちが使うビデオや図書を買い、残りは船員に分配されていた。フカヒレの販売は、少なくとも1975年から慣習として続いていたという。

 県教委高校教育課は、県の実習で得たフカヒレは県の財産で、売却した場合は県の収入になるとしている。県教委は、売却代金を私的に利用していたのは「不適切だった」として、2月28日付で校長と船長を厳重注意にした。

 鹿島丸の船員は21人で、年に2回ある約80日間のハワイ沖への航海実習の際、生徒とともに鹿島丸に乗船。船員はマグロ漁の際に捕獲されたサメのヒレを、船上で天日干しするなどしてフカヒレに加工していた。

 フカヒレは、水揚げをする神奈川県三浦市の三崎港で業者に売却。04年度から06年度の実習では、年に約110万円の売却益があり、船員一人当たり4万円前後を受け取っていた。03年以前の金額は明らかになっていないという。

 福岡県内の水産高校で昨年11月にフカヒレを売却していたことが問題になったことがきっかけで、昨年12月1日、船長から同校を通じて県教委に報告された。船長は「先代の船長から引き継ぎ、それが普通だと思っていた」と話しているという。

 県教委によると、フカヒレの売却に生徒はかかわっておらず、同校も事実を把握していなかった。06年度の航海実習で得たフカヒレの代金約110万円のうち、まだ船員の手元にあった約90万円は県に返還した。県教委はそれより以前の売却益については、「慣習だと思っており、悪質性はない」として返還は求めないとしている。

http://mytown.asahi.com/ibaraki/news.php?k_id=08000000703300005