記事登録
2007年03月30日(金) 00時00分

イム・チェム「故ユニやチョン・ダビンの悲劇再発も」朝日新聞

 「今の状況なら何年経ってもユニ、チョン・ダビン事件と似た事件が起こらないとはいえない」。中堅タレントのイム・チェム(58)が、若い世代が中心のエンターテイメント市場に対する問題点を強く指摘した。

イム・チェムはベテラン俳優として芸能界の現状に苦言を呈した

 イム・チェムは7日、MBCの新しい朝ドラマ「私のそばにいて」の制作発表会で、私見であると断ったうえで、「国内ドラマの素材が貧困な点と若いスターたちの促成栽培が問題た」と批判した。

 イム・チェムは「外国のドラマと比べると素材が貧困だ。特にインターネット世代に合わせてドラマが編成されているのに、実質的な視聴者は田舍にいる大人たちだ」と語り、『田園日記』のようなドラマのファンが、ファンレターやインターネットを使わないからといって見ていないわけではない」と言う。

 彼は「このごろのドラマは、20代が企業の重役になって会社全体を率いるなど、現実と隔たりがある。既成世代の見るものがない」と批判した後「もし自分が制作するとしたなら老若男女が見られる作品を作りたい」と語った。

 最近ユニ、チョン・ダビンなど若い芸能人たちが鬱病に苦しんだ末に世を去ったのも、芸能産業の構造的な問題点にあるとも指摘した。

 「最近は芸能プロダクションが乱立し、スターをタイ焼きを焼き上げるかのように作り出します。基礎を固めながら一歩ずつ階段を上がっていかなければならないのに、あまりに早くトップに上がってしまうので鬱病にかかるのです」

 急速に「加工された」スターたちがわずかなトップスターの地位を奪い合っているというのが彼の主張だ。 

 1973年にMBCの公募タレント第6期生としてデビューしたイム・チェムは、無名のまま8年を過ごした後、1980、90年代のメロドラマにカリスマあふれる主人公として熱演してきた。以後、平々凡々とした中年男性像を演じ、アイスクリームのCFにも登場する一方で、芸能番組はもちろん、映画も2本撮った。還暦を目前に控え、「第2の全盛期」を迎えていると言える。

 イム・チェムより4歳上のチェ・ジュボンも同様の趣旨の発言をした。俳優として活動している息子のチェ・ギュファンに「早くから成功しようと思うな。大器晩成型の俳優になりなさい」という言葉をいつもかけているという。また、「最近のように若くしてスターになろうとするのは無理がある」として「ステップ・バイ・ステップで1段ずつ上がっていかなければならない。40代や、あるいは60歳になってスターになってもいいではないか。焦らず、誠実にやっていくことだ」と語った。

http://www.asahi.com/culture/korea/TKY200703280264.html