記事登録
2007年03月30日(金) 21時39分

イージス艦情報も持ち出す 2等海曹 秘密保護法違反も朝日新聞

 海上自衛隊第1護衛隊群(神奈川県横須賀市)の護衛艦「しらね」の2等海曹が護衛艦の情報を持ち出していた問題で、この情報の中にはイージス艦に関する情報も含まれていたことが30日、神奈川県警の調べで分かった。イージス艦の情報の中には日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法で「特別防衛秘密」に指定される秘匿度の高い情報も含まれており、県警は2曹が持ち出した情報の分析を進めている。

 捜査当局によると、今年1月、県警が2曹の中国籍の妻を入管難民法違反容疑で逮捕して自宅を家宅捜索した際、護衛艦のレーダーのデータなどを記録したフロッピーディスク(FD)を押収したほか、イージス艦の情報が持ち出されていたことが判明したという。

 県警は、2曹の担当職務や階級に照らして接触できる秘密情報が限られていることから、情報の入手経路に関心を寄せて捜査。秘匿性の高い情報に接触できる別の人物が2曹に渡した可能性も視野に慎重に調べている。

 関係者によると、2曹は95〜99年にイージス艦「きりしま」(横須賀基地)に乗っていた。また、2曹は中国への渡航歴はないという。

 イージス艦は、米国海軍が開発した最新型の対空ミサイル管制システムを装備した艦船。400キロ以内の距離にある200以上のミサイルや航空機を同時に探知し、速度や飛行コースを捕捉して撃ち落とすことが可能。海自は現在、5隻を保有している。

 特別防衛秘密は、日米相互防衛援助協定などに基づき、米国から供与された装備品の(1)構造や性能(2)製作、保管、修理に関する技術(3)使用方法(4)品目、数量——が対象。特別防衛秘密を漏洩(ろうえい)した場合、10年以下の懲役と定められている。

 弾道ミサイル防衛などの分野で日米両国は軍事に関する情報共有の流れを強めている。仮に2曹が特別防衛秘密を持ち出していた場合、日本側の情報管理のあり方に対し、米側から強い懸念が示されるのは必至だ。

http://www.asahi.com/national/update/0330/TKY200703300345.html