記事登録
2007年03月30日(金) 14時55分

放火罪に問われた被告、無罪に 2人死亡火災で大阪地裁朝日新聞

 大阪市北区で05年5月、文化住宅が全焼して男女2人が死亡した火災で、同住宅の自室に火をつけたとして現住建造物等放火罪に問われた元店員北山知也被告(33)の判決が30日、大阪地裁であった。杉田宗久裁判長は、北山被告に無罪(求刑懲役18年)を言い渡した。杉田裁判長は昨年2月の公判で、「警察が違法な取り調べをしており、被告の自白には任意性がない」などと述べ、検察側による北山被告の供述調書の証拠採用請求を却下していた。

 北山被告は05年5月27日朝、北区内の2階建て文化住宅の1階自室の布団などにライターで火をつけ、同住宅を全焼させたとして逮捕された。この火災で焼け跡から男女2人の遺体が見つかった。

 北山被告は府警の調べに「給料を下げられ、イライラして火をつけた」と放火を認めたとして起訴された。弁護側は、逮捕前に「ホットプレートの漏電が原因ではないか」と供述した北山被告が、捜査員の態度が怖くなり自白させられた、と主張していた。

 杉田裁判長は供述調書の証拠採用申請を却下した公判で、「出火原因として漏電の可能性も残されているのに、刑事の勘のみに頼って男性の言い分に耳を貸さなかった」と指摘していた。

http://www.asahi.com/national/update/0330/OSK200703300098.html