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2007年03月30日(金) 21時02分

隠ぺい・改ざんは306事例、電力会社など調査報告読売新聞

 東京電力や関西電力など国内の10電力会社と日本原子力発電、電源開発は30日、トラブル隠ぺいやデータ改ざんなどに関する社内調査の最終結果を経済産業省原子力安全・保安院に報告した。

 12事業者全体の報告数は、原子力発電所で97事例、火力で128事例、水力で81事例の計306事例に達した。

 定期検査中だった東電福島第1原子力発電所2号機(福島県)で1984年、100人前後が原子炉格納容器内で作業中に原子炉が臨界に達していたことも明らかになった。

 福島第1原発2号機では84年10月21日、機器点検のため、いったん原子炉を起動して臨界に到達。その後、制御棒を挿入し、臨界直前の状態に戻す作業を行ったが、炉内温度の急変などの影響で、瞬間的に再臨界になり緊急停止が働いた。

 臨界の際は、格納容器内で中性子が増えて被ばくする恐れがあるため、容器内に作業員が立ち入ることは禁じられている。

 東電は、原子炉は数秒で停止し、作業員の被ばくも確認されなかったと説明しているが、当時、この事例を国に報告しておらず、原子炉等規制法違反だった可能性がある。

 一方、同3号機で定期検査中だった78年11月2日に制御棒5本が脱落し、臨界が疑われる状態が7時間半にわたり継続したトラブルは、その後のデータ解析で臨界事故だったと断定した。当直副長らは制御棒が脱落するはずがないとの先入観で、臨界事故を疑わず、翌朝になって交代した副長が事故に気付くまでに長時間が経過した。ほかに制御棒脱落トラブル2件も新たに判明。同4号機では34本が脱落した。

 99年に北陸電力志賀原発1号機(石川県)で起きた臨界事故では、当時の発電所長自らが臨界を示すデータを「誤信号」として処理、隠ぺいしていた。

 日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県)では、97年に原子炉格納容器の気密性を確認する試験中に弁の不具合を隠したまま、国の検査をすり抜けた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070330it12.htm?from=top