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2007年03月29日(木) 00時00分

食事療法なら牛乳に相談だ…有害論に学会が反論ZAKZAK

 新谷氏は胃腸内視鏡学の世界的権威で、現在、米アルバート・アインシュタイン医科大学外科教授。胃腸内視鏡外科医として多くの胃腸を診てきた臨床結果から、生物の細胞内で作られるタンパク質性の触媒、エンザイム(酵素)を活性化させる独自の食事健康法を提唱している。

 その健康法をまとめたのが『病気にならない生き方』で、本書は2005年7月発行以来、135万部のベストセラーとなった。

 新谷氏は本書の中で「市販牛乳は油と並んで酸化の進んだ食品で、(中略)体によいことは何もない」と持論を展開。市販の牛乳は加工過程で生乳のよい成分がすべて失われ、生乳の乳脂肪の粒を攪拌して均等化する過程でも乳脂肪は酸素と結びつき過酸化脂質に変化、つまり「ひどく錆びた脂」になっている、と述べている。

 こうした牛乳有害論に対し、医学や栄養学などの学識者からなる牛乳乳製品健康科学会議は新谷氏の主張を検証、科学的根拠に大きな疑問があるとして、今回、8項目にわたる公開質問文を送ることにした。回答期限は4月30日。

 同会議の折茂会長は「新谷氏の本では牛乳の正しい情報が伝わっていない。本はベストセラーとなり、無視できなくなった。あまりにも牛乳に対する誤解が多い」と話している。

 「錆びた脂」批判について、同会議は公開質問状の中で、乳脂肪はもともと酸化されにくい脂肪で、均等化、殺菌しても酸化することはほとんどないと説明。また均等化や殺菌工程は、外気と直接触れないので脂肪が酸化する可能性はほとんどないという科学的データを示し、新谷氏に反論している。

 新谷氏はさらに次のような牛乳有害論を本書で述べている。

 1.牛乳を飲みすぎると骨粗しょう症になる

 2.牛乳のカルシウムはかえって体内のカルシウム量を減らす

 3.アトピー、花粉症の第一の原因は学校給食の牛乳にある

 4.ヨーグルトの乳酸菌は胃に入った時点でほとんどが胃酸に殺されている

 折茂会長は「牛乳を飲んで骨粗しょう症になるとは常識に反すること。米ハーバード大学の調査結果もあり、根拠がまったくない」とし、新谷氏の牛乳有害論をすべて否定した。

 乳業業界あげての公開質問状について、乳業メーカーの関心も高く、明治乳業は「牛乳は5000年以上続いているすばらしい食品で、学術論争が交わされる中で、牛乳のすぐれた機能を周知していきたい」(水谷正博広報室長)と話している。

ZAKZAK 2007/03/29

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007032929.html