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2007年03月29日(木) 00時00分

サッポロ、新防衛策可決…「手打ちあった」との声もZAKZAK

 【サッポロ勝利】

 総会には、昨年より317人多い1157人が出席し、81.3%に当たる30万2561口の議決権が行使された。この議決権行使の比率は過去最高という。

 焦点となった新買収防衛策について、サッポロホールディングスの村上隆男社長は、総会後に報道陣の前で開いた報告会で、「(サッポロ側の提案に)3分の2超の賛同を得た」と説明。スティール側は代理人のみが出席したという。

 可決されたことについては、「議決権の行使率が高かったのは、株主の関心が高かったということ。サッポロの将来への意見を頂いたことに感謝している」(村上社長)とした。

 また、今後もし敵対的TOB(株式公開買い付け)などを仕掛けられた場合の対応については、「仮定の話については答えられない」と述べるにとどまった。

 紛糾も予想されたのにアッサリと決着した総会に、株主からは「しらけた」「裏で手打ちがあったのでは」「結局は売り抜けたいだけなのでは」といった声も聞かれた。


サッポロの株主総会会場となった恵比寿ガーデンプレイスは、スティールも注目する優良資産でもある=29日午前8時20分、東京・恵比寿 【次の一手は?】

 注目されるのは、スティールが今後、サッポロ買収のためにどんな手を打ってくるのかということ。あえて敵対的TOBを強行してくる可能性はあるのだろうか。

 M&Aに詳しい関係者は、「(敵対的TOBに対抗するための)新株予約権発行により、スティールが持つサッポロ株の価値が薄まるリスクが大きい」と分析。スティールが敵対的TOBを強行してくる可能性は低いのではないかとみる。

 では、保有している約18%(7075万株)のサッポロ株はどうなるのか。これは、時価にして586億円(28日終値)に相当する。スティールも投資ファンドである以上、いずれサッポロ株を売却して利益を確定させる必要がある。

 明星食品へのTOBでは、ホワイトナイト(友好的買収者)として日清食品が現れ、スティールは36億円の利益を得た。ところが、サッポロの場合は、同業他社が買収に積極的ではない。優良な不動産を保有しているため、不動産会社が名乗りをあげるのではないかといわれるが、実現性は未知数だ。

 ただ、スティールについてはこんな指摘も。

 「スティールは株式の上場や転売で利益を確定させるバイアウトファンドではなく、運用成績に応じて投資家に配当を支払えばよいヘッジファンド。このためサッポロ株を急いで売り抜ける必要はない」(市場筋)

 サッポロ側にも「スティールは腰が据わっている」(関係者)との感触があり、バトルが長期化する可能性もある。

 最後に、M&Aに詳しい関係者に「次の一手」を占ってもらった。

 「スティールはルール通りに手続きを進める裏で、サッポロに非公式に打診し、フィナンシャル・アドバイザーを交えて保有株の引き受け先などを話し合うのが最も現実的ではないか」

 今後も虚々実々の駆け引きが続きそうだ。

【新買収防衛策】

 サッポロは2006年2月、敵対的買収者が現れた場合に、対抗策として既存株主に新株予約権を発行する買収防衛策を導入。29日の株主総会では中身を一部変更した新たな買収防衛策の導入が承認された。

 新株予約権発行の是非を取締役会が判断するという点は、新旧の防衛策とも同じ。違うのは防衛策を継続する際の手続きの部分。旧防衛策では、取締役会の決議により1年ごとに継続できるとしていたのに対し、新防衛策では毎年の定時株主総会での承認を継続の条件にしている。株主の“お墨付き”をもらう新防衛策は、「法廷闘争になっても有利に働く」(法曹関係者)とみられる。

ZAKZAK 2007/03/29

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007032930.html