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2007年03月29日(木) 20時18分

<耐震不足>全国の新築中層マンションの1割で 国交省調査毎日新聞

 国土交通省は29日、耐震データ偽造事件を受けて行った全国の中層マンション389棟を対象としたサンプル調査で、1割以上にあたる40棟が耐震強度不足の疑いがあると発表した。このうち大分県内の1棟は耐震基準の66%で既に補強工事を始めている。同省が建て替えの目安としている基準の半分以下はなく、書類の差し替えなど偽装行為も見つかっていないが、同省は「予想以上に設計上の問題が多い」として、今年6月に改定する建築確認検査のガイドライン(指針)に「設計図面に不整合がないこと」と明記し、指針を強化する方針。
 サンプル調査は、姉歯秀次・元1級建築士(1審判決で懲役5年)による事件を受け、国交省が各自治体を通じて昨年2月から実施。01年以降に建築確認された鉄筋コンクリート造りの中層マンション約6000棟から389棟を無作為に抽出し、同省の外郭団体「日本建築防災協会」(東京都港区)が設計図や現場の状況を検証した。
 この結果、基礎と骨組みの設計図(構造図)が構造計算書と一致していなかったり、耐震性を検証する際に建物に掛かる力を低く見積もるなど、耐震強度に疑問が残る物件が40棟に上った。耐震強度は基準の50〜90%台で、今後、各自治体が詳しく再検証する。大分県宇佐市内の4階建て賃貸マンションは、昨年末に基準の66%と判明。施工ミスが原因だったが、自治体による完了検査などで見過ごされていた。
 国交省は昨年末、調査を終えた221棟について中間報告として発表。強度不足の疑いは約7%の15棟だけだったが、割合は増加した。【長谷川豊】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070329-00000115-mai-soci