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2007年03月29日(木) 00時00分

海外先物取引で脱税 個人投資家を告発 東京新聞

 東京都内に住む個人投資家の無職の男性(64)が、海外金融先物取引で得た利益を税務申告せず、二〇〇五年までの二年間に約七億五千万円の個人所得を隠し、約二億七千万円を脱税したとして、東京国税局が、男性を所得税法違反(脱税)の疑いで、東京地検に告発していたことが二十九日、分かった。

 関係者によると、男性は〇四年春、シンガポールの銀行系の金融先物取引会社に口座を開設し、約二億円を入金。この本人名義の口座で、証券先物「日経225」やニューヨーク原油商品先物を取引したり、少額の保証金で外国為替の売買を行う外為証拠金取引で米ドルなどを売買するなど二年間で、約三億円の利益を上げたという。

 また、同国では法人名義の口座で同様の取引を行っており、二つの口座で総額七億五千万円の利益を得ていたという。

 海外金融先物取引や外為証拠金取引で得た利益は、雑所得として課税対象となり、こうした利益を含めた副収入が二十万円を超える場合は、他の所得と合算して確定申告しなければならない。

 しかし、男性は他の所得は税務申告していたが、海外金融先物取引で得た利益は全く申告していなかった。男性は〇四年に他界した父親から遺産相続した財産の一部を投資に回していたが、昨年八月に遺産相続をめぐって税務調査を受け、多額の資金を海外で運用していることが発覚した。

 男性は、本紙の取材に「海外の取引で、黙っていれば分からないと思った。海外の金融取引で四億円の損をしたこともあり、元をとっていない思いもあったが、今は反省している。国税の指摘に従い修正申告した」と話したが、法人名義の口座分については「関係ない」と否定している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070329/eve_____sya_____001.shtml