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2007年03月29日(木) 23時58分

公立小中学校の耐震診断、2割が未実施 文科省まとめ朝日新聞

 文部科学省は、全国の公立学校の昨年末現在の耐震診断の実施率と耐震化率を29日発表した。このうち校舎や体育館などの棟数で全体の4分の3を占める小中学校の診断実施率は79%だった。文科省は昨年末までの完全実施を求めていたが、この3月末まででも予定がない自治体や学校組合が全体の5%にのぼる。同省は聞き取り調査などで診断を促し、従わない場合は指導する方針だ。また、耐震化率も昨年4月から2ポイント増の57%と、対策がなかなか進まない現状が明らかになった。

 小中学校の都道府県別の実施率では香川県がトップ。静岡県と埼玉県が続く。能登半島地震に見舞われた石川県は35位、中越地震が起きた新潟県は44位、長崎県が最下位だった。

 実施予定がない91自治体のうち、半数以上の51が北海道に集中。福岡県西方沖地震があった福岡には11、新潟県にも7ある。このうち北海道陸別町、新潟県粟島浦村、福岡県芦屋町など10自治体の公立小中学校はすべて、現在の耐震設計基準が適用された81年より前に建てられている。

 簡易な診断ならば10万円程度ででき、費用の半分は国が補助する。文科省は「診断しない自治体の多くは財政難を理由にしているが、新潟や福岡には『一回起きたから大丈夫』という自治体もある」と話す。

 一方、計13万867棟ある小中学校の耐震化率は、昨年4月から2.1ポイント増の56.8%にとどまる。文科省は「多くが災害時の避難場所となるのに、かなり危機的な状況」とみている。

 都道府県別の耐震化率をみると、東海地震で大きな被害が予想されている地域が上位に並んだ。1位は神奈川県、2位三重県、3位が静岡県。能登半島地震で小学校の体育館1棟が半壊した石川県は16位、診断率でトップの香川県は35.4%で最下位だった。4月からの伸び率でも、神奈川県が3.3ポイント、三重県で4.3ポイント増えたのに対し、46位の長崎県が0.6ポイント、45位の徳島県が0.8ポイント増などと、下位層の伸びの悪さが目立つ。

 文科省は、昨年6月に自治体ごとの耐震診断実施率を初めて公表した。このことで取り組みが加速したとみており、今回はさらに、学校ごとの診断結果を公表するよう求める通知を近く出す予定だ。

http://www.asahi.com/national/update/0329/TKY200703290324.html