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2007年03月29日(木) 17時45分

9・11同時多発テロの追悼施設に、日本の折り鶴1万羽朝日新聞

 日本の平和の折り鶴を飾りたい——。ニューヨークの世界貿易センター跡地の横にある米同時多発テロの追悼施設「トリビュート・センター」から昨年末、そんな依頼が日本人犠牲者の遺族に届いた。遺族の呼びかけで、1万羽を超す折り鶴が集まり、今週、現地へ送られた。

9・11の追悼施設へ送る折り鶴をまとめる住山一貞さん(左)と妻マリさん=東京都目黒区で

 東京都目黒区の住山一貞さん(69)、マリさん(67)夫妻は昨秋、ニューヨークを訪れた。テロで亡くなった長男の杉山陽一さん(当時34)の弔いと、9・11から5年の節目に開館した同施設を手伝うためだった。

 そのときの縁で、展示を充実させたいと館長から頼み事が来た。届いたメールには「日本の折り鶴を施設に飾りたい」とあった。

 「日本人としてすごくうれしいこと」と住山さん。ほかの遺族や知人に協力を頼み、人から人へと広がった。

 そんな一人が、静岡市清水区の学習塾経営、和田啓子さん(67)。マリさんの幼なじみで、陽一さんも小さいころから知っていた。

 塾の子どもや親たちに「できる人はお願い」と頼んだ。勉強が済んだ後に折る子のほか、家で親に習って一緒に折ってきた子もいた。地域の別の塾の協力もあった。計4千羽余り。「9・11から5年余り。今の子は満足に知らない。テロの悲劇や、命の大切さについて学ぶいい機会でした」と話す。

 折り鶴は施設の階段などに飾られる予定だ。

http://www.asahi.com/national/update/0329/TKY200703290243.html