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2007年03月29日(木) 11時59分

「死亡と因果関係」と県警が判断 射水病院の呼吸器外し 朝日新聞

 富山県の射水市民病院で00年〜05年、入院中の末期患者7人が当時の外科部長らに人工呼吸器を外され死亡した問題で、死因などについて鑑定を依頼した専門医の意見をもとに、富山県警が、一部の患者について「人工呼吸器の取り外しと死亡には因果関係がある」と判断していることがわかった。

 県警は殺人容疑で調べを進め、取り外しの経緯などに関する捜査を事実上終えた。ただ、延命治療中止に関する明確な国の規定や指針はなく、県警と警察庁との協議では「今は捜査が医療現場に立ち入るべきではないのではないか」との意見も出ており、慎重に立件の可否を検討している。

 この問題は05年10月、伊藤雅之・元外科部長(51)から人工呼吸器を外すように指示を受けた看護師が病院側に相談したことがきっかけで判明。病院の調査で00年〜05年に、50〜90歳代の男性4人、女性3人の末期患者が人工呼吸器を取り外された後、死亡したことがわかった。病院側は昨年3月、記者会見して公表した。

 県警は病院から届け出を受けた05年10月以降、伊藤医師や看護師、遺族らから事情聴取。病院から任意提出を受けたカルテなどをもとに県内外の専門医2人に鑑定を依頼、別の専門医の意見も聞き、取り外した行為が患者の死につながったかを検討してきた。

 伊藤医師は朝日新聞社の取材に、1人については別の男性医師が主治医だったとして関与を否定。残り6人はいずれも回復の見込みのない末期患者と判断し、延命治療中止について家族の同意を得ており、うち3人は本人や家族との会話から、本人の意思を確認・推定したなどと説明している。

 一方、この問題を契機に、厚生労働省による延命治療中止の指針作りが進み、日本救急医学会が具体的な手順を定めたガイドライン案をまとめるなど、終末期医療のあり方のルール作りが広がっている。

http://www.asahi.com/national/update/0329/TKY200703290132.html