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2007年03月29日(木) 23時10分

ガス田共同開発、なお隔たり 日中が9カ月ぶり協議朝日新聞

 東シナ海の天然ガス田をめぐる日中の局長級協議が29日、外務省で開かれた。4月11日からの温家宝(ウェン・チアパオ)首相の来日を目前に控え、昨年7月以来約9カ月ぶりの開催にこぎ着けたが、共同開発する海域などについての隔たりは埋まらず、首脳会談で政治決着が図られるかどうかが焦点となる。

 ガス田をめぐって首脳間で共同開発する方向で一致しているが、具体策を探る事務レベルの協議は難航。局長級協議の日程も、中国側が難色を示して延び延びになっていた。29日は外務省の佐々江賢一郎・アジア大洋州局長、望月晴文・資源エネルギー庁長官、胡正躍(フー・チョンユエ)中国外務省アジア局長らが出席したが、協議は約2時間にとどまった。

 協議終了後、佐々江局長は「中国側から建設的な方向性を示す意見もあった」と述べたが、同省幹部は「意見の隔たりは、まだまだ大きい」と指摘。望月長官も「大変厳しい環境」と語った。

 この日の協議では、来週後半に北京で技術専門家会合を開き、東シナ海の地下資源の構造などについて情報交換することでは合意した。

 ガス田問題には排他的経済水域や安全保障も絡むため、「首脳レベルでないと進まない」(経済産業省幹部)との見方が強い。安倍、温両首相の会談で、共同開発の対象海域などについて双方が歩み寄ることに期待をつなぐ向きもある。

 中国側が開発を進める「春暁(日本名・白樺)」ガス田について、日本側は日中中間線にまたがる地下構造として中止を求めている。これに対し、中国側は中間線を境界線と認めていない。

http://www.asahi.com/politics/update/0329/009.html