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2007年03月29日(木) 03時02分

<自殺防止策>3世代に分け例示 内閣府検討会の報告書全容毎日新聞

 総合的な自殺対策について、内閣府の検討会がまとめた報告書(素案)の全容が分かった。社会全体で取り組む必要性を強調し、青少年と中高年、高齢者の三つの世代別に自殺の特徴を分析し、対策を例示したのが大きな特徴だ。また、数値目標は自殺者減少の実現性を高めるため、自殺者数全体だけでなく、個別の施策でも設定すべきだと提言。報告書は政府が今年6月に策定する自殺対策大綱のたたき台になるもので、4月上旬に最終決定する見通し。
 「自殺総合対策のあり方検討会」の素案は、自殺者が「必ずしも十分な判断力を持って自己決定をしているわけではない」と分析。心の中で「生きたい」という気持ちとの間で激しく揺れ動き「助けてほしい」「気づいてほしい」サインを発していると指摘。それに気づいて専門家につなぐことで、多くの自殺は避けられるとしている。
 具体的には、世代別に自殺の特徴と対策を提示。青少年は「思春期を迎えるなど精神的な安定を損ないやすい時期」と位置づけ、学級担任や養護教諭らに、自殺のサインに気づき、それに対応するための自殺予防教育を実施すべきだとする。
 医師に相談しないことが多い中高年の場合は、うつ病のサインなどに周囲が早く気づき、精神科医らの治療を受けさせることが重要として、専門家による地域や職場内での支援体制整備を求める。高齢者は、多くが内科医などを受診していることから、かかりつけ医のうつ病の診断・治療の資質向上を図ることを挙げた。総合的な自殺対策では、自殺の背景の調査研究や国民の理解、人材の確保なども掲げた。
 数値目標は全体数に加え、自殺率の高い世代などへの重点的な目標設定を提案。一般医のうつ病診断率や職場のメンタルヘルスの取り組み状況などにも、目標を設定すべきだとしている。
 国や自治体などに責務を課した自殺対策基本法が昨年6月に成立(10月施行)。政府が推進すべき自殺対策の指針として、自殺対策大綱の策定を義務付けた。内閣府の検討会は昨年11月に設置され議論を重ねていた。【玉木達也】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070329-00000016-mai-soci