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2007年03月29日(木) 00時00分

競争激化 2ホテル撤退朝日新聞

 新潟市にある「メルパルク新潟」と「新潟ワシントンホテル」が、業績不振のため今月末で営業を終了する。ともに開業から20年を超え、待ち合わせや憩いの場としても親しまれたホテルだった。だが、近年は婚礼の利用者が減少し、安価なビジネスホテルの開業で競争も激化。同市内のホテル業界を取り巻く環境が大きく変わったことが影響した。

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 メルパルク新潟(同市川岸町2丁目)は80年の開業。5階の「シエル・ブルー」は県内初のプラネタリウムとして、子ども連れなどに好評だった。89年の改装後は結婚披露宴会場として利用され、英国風の宴会場やパイプオルガンの礼拝堂も人気を呼んだ。

 93年度には、宿泊やレストランを約19万1千人が利用。収支差額で約1億2300万円の黒字となったが、それをピークに右肩下がりに転じた。04年度には、利用者は約12万9千人まで減少。05年7月の中間決算で、公社負担の固定資産税や減価償却費などを施設採算すると、約1800万円の赤字になることがわかった。

 民営化後の組織改革を進める日本郵政公社では、「07年度以降の黒字化は困難」と判断。全国の郵便貯金関連施設8カ所とともに今月末での廃止を決めた。

 業績悪化の一因は、主部門だった婚礼の減少にある。若者人口の減少や晩婚化に加え、レストランでの披露パーティーが増加するなど婚礼スタイルが多様化した。閉館を目前に控え、杉沢信光・総支配人は「『メルパルクで式をあげたい』と日時を繰り上げてくれる人もいた。惜しまれながら営業を終えられるよう、サービスを徹底したい」と話している。同市の不動産業者「新潟マイホームセンター」が2月、競争入札で落札し、用途を検討中という。

 85年オープンの新潟ワシントンホテル(同市笹口1丁目)は、新潟駅と連絡通路で結ばれた利便性を売りに、幅広い客層を集めてきた。

 ところが同市内には、02年以降にビジネスホテルが相次いで開業。インターネット予約で安価に宿泊できるホテルに客層を奪われるように、03年に赤字化した。

 89年に約4千室だった市内全ホテルの客室数は、05年に約6千室にまで増加。こうした流れに昨年11月、「減益傾向は継続する」との見方から営業終了を決めた。跡地には、ソラーレ・ホテルズ・アンド・リゾーツ(本社東京都港区)の「チサン・ホテル&コンファレンスセンター・新潟」が入り今年8月から開業予定だ。

http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000000703290005