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2007年03月29日(木) 00時00分

神戸にスパコン 経済効果に熱視線朝日新聞

ポーアイに世界最速のスーパーコンピューターがやってくる——。理化学研究所の施設誘致をめぐる激しい競争を制した28日、神戸市と県の幹部や誘致担当者は喜びの声を上げた。施設の建設で地元経済が刺激され、研究者が集まって産業も発展する。そんなバラ色の先行きを関係者は期待するが、60億円以上にのぼるとみられる地元負担に見合うのか、具体的な効果が注目される。
 立地決定の報を受け、矢田立郎市長はポーアイの地図を示しながら会見。「医療産業都市構想に弾みがつく」と笑顔を見せた。井戸敏三知事も「産学官が一体となって研究利用や人材育成など幅広く支援し、世界最高水準のスーパーコンピューティング拠点にしたい」との談話を出した。
 神戸市は当初2ヘクタールの土地(約40億円相当)を無償提供し、将来さらに2ヘクタールを提供する予定だ。また、2億円かけて地盤改良し、工業用水の整備に15億円かける。県とともに、固定資産税などの減免も実施する。
 「大サービス」の対価として期待しているのは、スパコンの開発と施設の建設で約1千億円、完成後10年間の維持費で約800億円とされる巨額の投資だ。
 学術面での期待も高い。県はこの日、県立大学大学院にコンピューターや理論数学に特化した学科を新設することを表明。スパコン施設の隣接地には、同大学院や共同研究所などが入る施設を建設するとした。スパコン稼働後の11年4月の開設をめざすという。
 県科学振興課の担当者は「従来の誘致のように土地を提供するだけでなく、建設を契機に若い研究者を育てようとする発想も評価されたと思う」と話した。

http://mytown.asahi.com/hyogo/news.php?k_id=29000000703290005