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2007年03月29日(木) 00時00分

費用代償「多い」26人/07統一地方選朝日新聞

 〜県議選予定者アンケート〜

 県議には、本会議や委員会に出席するごとに、居住地から岡山市内の議事堂までの距離に応じ、9100〜1万8100円の6段階の「費用弁償」が支給されている。朝日新聞岡山総局が県議選の立候補予定者に実施したアンケートで、回答を寄せた68人のうち、費用弁償の額について、「適当」と答えたのは27人で、うち24人は現職。一方、「多い」と答えたのは26人で、18人が新顔だ。全国的に見直しが進む費用弁償をめぐって、現職と新顔で評価が分かれたといえる。

■現職と評価割れる

 県議に対する費用弁償は05年度で総額約4755万円。07年度当初予算では5067万1千円を計上している。朝日新聞岡山総局が県に開示請求して得た資料によると、今年1月25、26日と2月2、15日の計4日間に開かれた県議会特別委と常任委で、議員51人がそれぞれ2〜4日出席した際に支払われた費用弁償の総額は計216万1300円だ。

 費用弁償は、県議の自宅から議事堂までの距離に応じて支給される。県議会の条例の支給額表によると、距離は鉄道を基本に計算するが、最寄り駅から自宅までなど陸路の距離は、実際の距離を4倍し、鉄道の距離に加える。

 県庁南側にある議会棟から自宅までの距離が8キロ以内だと、1日につき9100円。徒歩でも車でも支給される。8キロ以上は、距離に応じて25キロ以内の1万500円から、100キロ以上1万8100円までで、計6段階ある。

 現職51人が6段階のどこに当てはまるのかをまとめた=表。鉄道を使わない陸路は距離を4倍にして計算するので、地図上の直線距離などとは大きなずれが出るところもある。該当人数が最も多かったのは、25キロ以上50キロ未満(1万1900円円)で、赤磐市や倉敷市の児島、玉島、真備地区、備前市などの選出議員15人だった。

 8キロ圏内(9100円)は岡山市選出の13人。岡山市議会でも議会棟からの距離に応じて市議に費用弁償を支給しているが、5キロ未満は2千円、5キロ以上は2500円。同市議会は費用弁償の見直しを検討中で、昨年10月から3月31日までの期間限定で一律2500円をカットした額だ。

 自治体が財政難の折、費用弁償は、議員報酬との「二重取り」との批判もある。鳥取県議会では05年度から実費支給にしたり、神奈川県議会ではこの4月から公共交通機関と自家用車のみ実費精算にしたりするなど、全国的にも見直しが始まっている。

 全国市民オンブズマン連絡協議会事務局長の新海聡弁護士は「費用弁償はそもそも定額制で支給する必要がなく、地方議員の公金に対するセンスが問われる。選挙民からみて違和感のあるセンスの持ち主が、予算審議したり、採決するチェック機能が果たせるのか」と話している。

【アンケートの内容と選択肢】

(1)費用弁償として支払われる金額について多いと思いますか、少ないと思います か。
・多い ・少ない ・適当だ

(2)費用弁償をどうすべきだとお考えですか
・条例通り支給 ・減額 ・廃止

【アンケート結果】

◇支払われる金額についてどう思うか
 27人が「適当」、26人が「多い」と答えた。その他、無回答は15人。

◇今後、費用弁償をどうすべきか
 最も多かったのが「条例通り支給」で28人。うち26人が自民で、「議員が招集に 応じて来る際の必要経費。条例通り支給すべきだと考えるが、費用弁償については今後見直しを検討する」となどと理由を挙げた。同党幹部は「単価を決めた時と事情が異なるだろうから、見直しをしなかったことに問題がある。実態に合う方法で支給すればよい」とした。
「減額」は18人。「一般企業の通勤手当と同レベルであるべきだ」「遠隔地はゼロというわけにはいかないが、岡山周辺は廃止でも構わない」などの意見があった。
「廃止」としたのは共産、民主、無所属を中心に11人。共産の現職3人は「報酬の中に含まれると考え、廃止しないなら供託する」との考えを示した。選択肢にない回答を記述したのは8人で、うち公明の5人は「費用弁償の制度そのものに議論が必要」としている。無回答は3人。

http://mytown.asahi.com/okayama/news.php?k_id=34000000703290003