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2007年03月29日(木) 00時00分

県幹部8人天下り/負債抱える県林業公社朝日新聞

 約284億円の負債が明らかになり、今年中に廃止されることが決まっている県林業公社(理事長・石川公一副知事)に、70年の設立以降、計8人の県の幹部職員OBが再就職していたことが、分かった。公社を所管する県の担当部署の次長級職員のOBらが退職直後に、公社の役員などへ天下りし、公社の退職時にも退職金を受け取っていた。公社の事業費や人件費などは県費と政府系金融機関からの貸付金が充てられており、巨額の負債を抱える一方、これらの資金で天下りOBの報酬や退職金も賄われていた格好だ。(中野浩至、小田健司)

 県人事課などによれば、同公社へは、公社設立直後の70年から、県林業水産部(現農林水産部)で当時の課長が退職直後に、公社の常務理事に再就職したのをはじめ、以降も課長1人、次長級6人の計8人が同様に、常務理事(79年に廃止)か専務理事、事務局長に再就職していた。

 公社は2月末現在、職員は9人、常勤役員は県幹部OBが務める専務理事1人だけで、同理事職の月額報酬は約30万円という。

 この幹部職員OBらの公社での任期は、大半は3年だが、中には最短で1年間、最長では6年間、専務理事を務めたOBもいる。

 多くは、県の前任の次長級職員が公社で3年前後勤め、後任の県職員が、前任者の公社退職後に、そのポストに天下りしており、公社の専務理事職は、県農林水産部の次長級職員の退職後の「指定席」になっていた。

 さらに、県の退職時とは別に、この県幹部職員のOBらは公社の退職時にも退職金を受け取っていた。金額は、退職時の月額報酬や在職月数などから、理事会の議決を経て決められるが、3年間勤めた場合は、百万円ほどになるという。

 退職金を外郭団体の退職時にも受け取っていることについて、県人事課は「『二重取り』については批判が根強く好ましくはないが、再就職後の退職金の受け取り状況については報告義務がないので分からない」としている。

 県は60歳の定年制を導入した85年以降、「人件費の抑制」などを目的に、次長級以上の職員に対しては、定年より1年前の早期退職を勧める一方で、公社など県の外郭団体への再就職をあっせんしている。

 05年度には、農林水産部長が県文化スポーツ振興財団の専務理事に就任するなど、11人の県OBが外郭団体の役員などに再就職していた。

 こうした県幹部職員OBへの再就職先のあっせんについて、県人事課は「あくまでも本人の能力を考えながら適材適所で行われているため、国の天下りなどとは性質が違うものと考えている」としている。

 ◆おおいた市民オンブズマンの永井敬三事務局長の話 
 県の外郭団体に、幹部職員のOBを再就職させたうえに、2度も退職金を払っている実態には疑問に感じる。天下りの受け皿としての一面も考えられ、行政が外郭団体の存在や、同団体などへの再就職を公務員の利権のようなものだとして考えているのなら問題だ。

◆キーワード
 県林業公社問題 同公社は70年に県や市町村が出資して設立。木材の売却益を分け合う契約で、所有者から計9千ヘクタールの山林を借りて植林事業を展開したが、木材市況の低迷で、公社の債務が増え続けたことから、県は04年、公社の解散を決めた。これまで事業に投じた資金はすべて県と政府系金融機関からの貸付金で、負債額は3月末現在で284億円に上る。債務は県が引き継ぐが、県知事の諮問機関による試算では、事業清算時の欠損金は約157億円に上る。

http://mytown.asahi.com/oita/news.php?k_id=45000000703290003