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2007年03月28日(水) 00時00分

一筋縄ではいかない? 日経株主総会直前のゴタゴタ劇ZAKZAK

招集通知、議決権行使書送付されずOBが地裁に申し立て

 【法廷バトル】

 仮処分を申し立てたのは日経OBの男性株主。男性は昨年7月、保有する日経株の一部を作家の高杉良氏に譲渡する契約を結んだが、日経は認めなかった。日経は男性が交わした譲渡契約を「信頼関係を破壊する行為」として、日経の株主になれる「社友」の資格を取り消した。

 日経は今月中旬、男性に総会の招集通知や議決権行使書を送付しない旨を文書で通知。「社友資格を取り消し、当社の事業関係者でなくなったので総会での議決権行使を認められない」との説明が記されていたという。

 男性側は日経に抗議したが受け入れられず、同26日に株主としての地位確認と、株主総会での議決権行使を妨害しないよう求める仮処分を東京地裁に申し立てた。

 27日に双方の代理人に対する1回目の審尋が行われたが、同地裁は申し立てに対する判断をこの日は見送り、28日に双方が追加主張することになった。判断は、同日または総会当日の29日朝にずれ込む可能性もあるという。

 【分があるのは?】

 日経と日経OBによる株主の権利をめぐる法廷バトル。どちらの主張に分があるのだろうか。

 企業法務に詳しいある弁護士は、「社友という資格は社内の規定にすぎず、株主名簿に名前がある人に通知を送らないのは民法の不法行為または会社法における取締役の職務上の義務違反に当たる」との見解。

 一方、別の弁護士は、「定款の記載次第では議決権行使を制限できる」と指摘する。日経の定款には「事業関係者でなくなった際には、遅滞なく株を譲渡する」とあり、昨年7月には役員や社員で構成する「日本経済新聞共栄会」が男性の保有株をすべて譲り受けたと通知している。

 男性側の主張は、株主としての地位については日経と係争中で司法判断が出ていないうえ、日経側は保有株の名義変更など具体的な手続きをとっておらず、男性は今でも株主というもの。日経の決算期である昨年12月末時点の株主名簿にも男性の名前があるとして、名簿の写しを申し立ての証拠として提出した。

 一方、日経新聞社は夕刊フジの取材に対して、「男性(日経のコメントでは実名)の株主権については係争中であり、裁判の場で当社の主張を明らかにしていく」(広報グループ)と回答している。

 会社と株主の関係が何かと注目され、「会社は誰のものか」という点に着目した企画記事も展開していた日経新聞。同社と株主の関係に、裁判所がどんな判断を下すのか注目される。

ZAKZAK 2007/03/28

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007032821.html