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2007年03月28日(水) 00時00分

列車転落から22年目…架け替え「さよなら、余部鉄橋」ZAKZAK

 最後の雄姿を一目見たい−。JR山陰線の余部(あまるべ)鉄橋(兵庫県香美町)の架け替えを前に、鉄道ファンだけでなくツアー客やカップルが詰め掛け、全国屈指の美しい景観との別れを惜しんでいる。

 日曜日の25日、鉄橋を渡る2両編成の普通列車は、ぎゅうぎゅう詰めだった。トンネルを抜け鉄橋に差しかかると、車内に歓声がわいた。車窓からは青い日本海を一望。鉄橋に隣接する餘部(あまるべ)駅では、列車に手を振る子どもの姿もあった。

 突風で列車が転落し6人が死亡した事故から22年目。工事は29日から始まり、新しい橋は2010年度に完成予定。鉄橋を長年悩ませてきた強風に耐えられるよう、スリムなデザインのコンクリート橋に生まれ変わる。11基ある橋脚のうち、一部を保存する案も検討されている。

 JR西日本は工事を記念してディーゼル列車「想い出のあまるべ」を4月1日まで運転しており、チケットはほぼ完売。5月の大型連休ごろまで周辺の景観に変化は少ないといい、盛況ぶりはまだ続きそうだ。

 ■余部鉄橋 JR山陰線の鎧(よろい)−餘部(あまるべ)間(兵庫県香美町)に架かる鉄橋。1912年に完成。長さ約310メートル、地上からの高さ約41メートル。「トレッスル式」と呼ばれる鋼材をやぐら状に組み上げた鉄橋の中では日本最大規模。86年12月、突風にあおられた回送列車が鉄橋から転落し、下敷きになった工場従業員ら計6人が死亡。事故後も強風の影響で列車の遅れや運休が頻発しており、透明の防風壁を備えたコンクリート製の橋に架け替える。

ZAKZAK 2007/03/28

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