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2007年03月28日(水) 00時00分

【能登地震】被災地に善意の輪朝日新聞

 =4市町で依然1600人避難=

 能登半島地震から3日目となった27日、被災地に支援の輪が広がっている。県民に限ったボランティアの受け付けもスタート。輪島市の多くと七尾市で水道が復旧したが、輪島市門前町と穴水町で依然、約1800世帯が断水したままだ。輪島、七尾、志賀、穴水の4市町では37カ所で1600人あまりの避難生活が続いている。

 県によると、27日午後8時現在、地震による死者は1人、重傷25人、軽傷210人。建物への被害は全壊71、半壊232、一部損壊955棟。地震直後は県内で11万世帯に及んだ停電は26日午後5時までにすべて復旧している。輪島市門前町の水道管の修復にはもう2、3日かかる見通し。停止していた北陸電力の七尾大田火力発電所1号機は27日午前10時すぎ、発電を開始した。

 七尾市の能登島と中島町を結ぶ農道橋「ツインブリッジのと」は28日から4月2日まで、午後10時から午前5時までの夜間、緊急車両以外の通行ができなくなる。26日深夜に仮復旧したばかりだが、さらに補強が必要と判断されたため。

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 =温水チューブで「暖」=
 富山の会社提供 避難所「あったか」

 被災者約300人が避難している輪島市の市立門前西小学校で、温水が流れる直径約1センチのチューブが四方八方に延びている。底冷えする避難所の床を暖めようと、富山県高岡市の防災用品会社が試作した「足元暖房システム」。高齢の被災者は「あったかい」と歓迎している。

 チューブを設置したのは、ヤマヤ物産社長の山本修一さん(59)。95年の阪神大震災に救援ボランティアとして参加し、避難所で亡くなる高齢者が多いことに胸を痛めて開発を始めた。試作品を作り、04年の新潟県中越地震で同県小千谷市の小千谷小学校に設置した。今回の能登半島地震でも発生初日に門前西小に無償で導入した。

 避難所の外にボイラーを置き、湯を沸かしてポリエチレン製のチューブで室内に送り込む。同小の被災者は、体育館や教室の床に毛布や段ボールを敷いて折り重なるようにして寝ている。避難している女性(56)は「どんなに毛布を敷いても底冷えするけど、これがあるだけで暖かさが全然違う」と話す。別の男性(81)はチューブを握りしめて暖をとっていた。

 ストーブのように室内の空気を汚すことなく暖められるといい、風邪の予防にもなりそうだ。山本さんは「今回は被災者に特に高齢者が多く、このシステムの必要性を強く感じた」と話し、商品化を前向きに検討している。
(樋口彩子)

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 =ボーイスカウト支援活動に参加=

 輪島市災害対策ボランティア現地本部が同市門前町の市立門前東小に設置された27日、ボーイスカウト石川県連盟(金沢市・西村稔理事長)は、野田政弘事務局長らが同本部の窓口にいち早く駆けつけ、スタッフから参加する手順などの説明を受けた=写真。高校生や大学生を中心に、平日から数十人単位で活動する予定で、現在、参加者を募っているという。

 野田事務局長によると、会員は約2100人。学生のほか、建設業者、配管工、医師、看護師など多様な人が所属している。26日の会議で復興支援への参加を決めて、電話で参加者を集めているという。家具などが散乱した民家の片づけなどを手伝うつもりだ。

 窓口で説明を受けた金沢工業大4年生の玉山裕一さん(22)は、「大型機械ではできない細かい片づけをしたい。高齢者や子どもから話を聴くことで心のケアもしたい」と話していた。

http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000000703280001