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2007年03月28日(水) 12時40分

「特異な性癖を満たすため」に3人を殺した、と死刑判決朝日新聞

 インターネットの自殺サイトを悪用した男女3人連続殺人事件で、殺人や死体遺棄などの罪に問われた無職前上(まえ・うえ)博被告(38)の判決が28日、大阪地裁であった。水島和男裁判長は「自らの特異な性癖を満たすため、4カ月で3人の尊い命を奪った残忍、冷酷な犯行だ。更生の可能性も極めて乏しい」と述べ、求刑通り死刑を言い渡した。弁護側は即日控訴した。

 判決によると、前上被告は小学生時に読んだ推理小説の影響で人が窒息して苦しむ姿に性的興奮を覚えるようになった。その後もこうした欲求を抑えきれず、04年12月に自殺サイトを使った自殺志願者の殺害を計画。05年2〜6月、大阪府豊中市の無職女性(当時25)▽神戸市の中学3年男子(同14)▽同府東大阪市の男子大学生(同21)に練炭自殺を持ちかけて誘い出し、鼻と口を手やタオルでふさいで窒息死させるなどした。

 判決はまず、前上被告の刑事責任能力について検討。3人の殺害状況を詳細に記憶し、証拠隠滅のために3人に送ったメールを削除したり、犯行に使ったレンタカーの車内を清掃したりしていると指摘し、「十分な事理弁識能力と行動制御能力があった」と判断。さらに精神鑑定で指摘された前上被告の「性的サディズム」については「異常な性癖は責任能力に影響を与えない」と述べた。

 そのうえで量刑理由について、「被害者3人は、それぞれ望んでいた『安らかな死』と対極の地獄の責め苦を味わわされた」と述べたうえで、犯行は計画的で巧妙▽特異な性癖の改善は困難——と指摘。「被告が特異な性癖を持ったことは不幸で、中学3年男子と男子大学生の殺害を自白したことは自首にあたるが、再犯を防ぐためにも極刑をもって臨むほかない」と結論づけた。

 弁護側は「被告は責任能力を欠いていた」「中学3年男子と男子大学生の殺害については05年8月の逮捕後に自白しており、自首にあたる」と主張し、死刑の回避を求めた。一方、前上被告は今年2月の最終意見陳述で「命をもって償うしかない。どんな判決でも受け入れる」と述べていた。

http://www.asahi.com/national/update/0328/OSK200703280022.html