記事登録
2007年03月28日(水) 21時27分

三洋電機、井植社長が退き、後任に佐野氏朝日新聞

 経営再建中の三洋電機は28日、創業家出身の井植敏雅社長(44)が退き、後任に佐野精一郎執行役員(54)が昇格する人事を正式に発表した。4月2日付。社長、会長を歴任した井植敏最高顧問(75)の辞任も決まった。佐野氏は執行役員のまま社長に就き、6月の株主総会を経て代表取締役に就任する。井植氏は株主総会まで取締役として三洋にとどまる。井植社長の退任で、三洋は1947年の創業以来、初めて創業家出身者が経営トップからはずれ、今後は取締役の過半数を占める金融機関主導での再建が進む。

社長就任が決まった佐野精一郎氏(右)と現社長の井植敏雅氏=28日午後5時19分、大阪府守口市の三洋電機本社で

 井植社長は05年6月、先般辞任した野中ともよ前会長(52)と同時に社長に就任。1年9カ月で社長の座を降りる。

 大阪府守口市で開かれた記者会見で、井植社長は退任の理由について、「経営再建に不可欠な、(大株主の)金融機関の継続的な信任が得られず、社長としての役割が終わったと判断された」と述べ、筆頭株主である米ゴールドマン・サックス(GS)など金融機関との間で、経営再建をめぐる意見の対立があったことを明かした。増資を受け入れた金融機関との意見調整に時間がかかり、再建に向けたスピードが上げられなかったという。

 また、井植社長は創業家が中心となって経営を続けていくことについて、「世間から受け入れられないといわれればその通りだろう」としながらも「井植の血を誇りと思っても恥と思ったことはない。私の名前が古い体質の代名詞とされたことは痛恨の極みだ」とも述べた。

 後任社長の佐野氏は77年の三洋入社以来、一貫して人事労務畑を歩んできた。直接事業を担当した経験がない佐野氏を後任に推薦したことについて、井植社長は「構造改革の最前線に立ってきた人物。社員を大切にする文化を一番理解している」とした。また「取締役間のチームワークを円滑に進めるために最も適任と判断した」と述べた。

 佐野氏は「私の最大の使命は環境エナジー先進メーカーへの変革を成し遂げることだ」と抱負を述べた。佐野氏は現在の中期経営計画を見直す考えはないことを明らかにした。携帯電話やデジタルカメラ事業などの売却に関しては「社員の雇用や生活に重大な影響を与える。軽々に判断できない」と慎重な姿勢を示した。

http://www.asahi.com/business/update/0328/156.html