記事登録
2007年03月28日(水) 08時00分

漫画「神の雫」きっかけ 焼酎天国・韓国、ワインに沸く朝日新聞

 真露をはじめとする焼酎天国の韓国で、空前のワインブームが起きている。国民所得の増加やウォン高による購買力の向上など経済的な背景もさることながら、何より「仕掛け人」と目されるのが、韓国でベストセラーとなっている日本のワイン漫画「神の雫(しずく)」の人気だ。

漫画「神の雫」単行本を並べ、「販売促進」をするワイン専門店=ソウルで

韓国のワイン輸入額の推移

 韓国に06年、輸入されたワインは8860万7000ドル(約103億円)。前年比3割も増えた。

 日本の週刊漫画誌に連載中の「神の雫」単行本が韓国で翻訳刊行されたのは05年11月。現在、9巻までが書店に並び70万部が売れた。出版元の鶴山文化社によると、韓国ではほとんどの大人が漫画を読まないが、「神の雫」の読者層には60代もいる。同社は「活字が小さすぎる」という読者の声に応え、活字を大きくし高級感あふれる装丁にした「ワイド版」を作製したほど。6巻セットの「贈呈用」も人気だ。

 中央省庁や大企業の幹部の間では手軽な「ワインの教科書」として重宝されており、「洗練された社会人のたしなみ」と新入社員に配る会社も現れた。また漫画の中で新しいワインが登場するたびに、そのワインが売り切れになったり、漫画で頻繁に登場する仏ブルゴーニュのワインに人気が集まったりなど「宣伝効果」も抜群だという。

 韓国といえば、洋酒や焼酎をビールで割ってイッキ飲みする「爆弾酒」が有名だが、「経済が成熟し『死ぬまで飲むぞ』という飲み方も変わってきた。『神の雫』はそうした変化の触媒役を果たしている」(ワイン専門流通会社の担当者)。

http://www.asahi.com/international/update/0328/005.html