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2007年03月28日(水) 01時09分

経営統合とは一線画す 伊勢丹・東急百貨店、提携発表朝日新聞

 百貨店業界5位の伊勢丹は27日、業界9位の東急百貨店と同社の親会社である東京急行電鉄との間で百貨店事業の業務提携に合意した、と正式に発表した。顧客データや商品情報を管理する伊勢丹のシステムに数年以内に東急百貨店が参加。顧客情報を共有し、営業力強化につなげる。

 記者会見した伊勢丹の武藤信一社長は「東急百貨店への出資は考えていない。単純に規模を寄せ集めても問題は解決しない」と強調。資本提携を軸とせずに業務提携を優先させて、グループ拡大を進める方針を明確に示した。百貨店業界では大丸と松坂屋ホールディングスなどの経営統合が続いているが、こうした動きとは一線を画した。

 伊勢丹は2人の執行役員を、東急百貨店の専務、常務取締役として送る。営業担当の責任者を務め、サイズや色ごとに発注や売れ行き、在庫を把握する伊勢丹独自の営業ノウハウを東急百貨店に導入する。伊勢丹としては、東急沿線に住む富裕層の顧客情報を得て商品開発力を強化する狙いもある。

 駅やその周辺に立地する電鉄系百貨店は集客力は高いものの、営業ノウハウでは大手百貨店に遅れ気味だった。人口減もあって小売りの競争が激化するなか、名鉄百貨店も05年に伊勢丹と業務提携を結んでいる。今後も、電鉄系百貨店が営業ノウハウや効率化を求めて大手百貨店とのグループ化を急ぐ可能性もある。

http://www.asahi.com/business/update/0328/002.html