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2007年03月28日(水) 00時02分

エジプトの改憲承認 投票率低迷、政府発表で20%台朝日新聞

 エジプト司法省は27日、前日行われた憲法改正の国民投票で75.9%が賛成し、憲法改正は承認されたと発表した。改憲は政府の治安権限を大幅に強化し、勢いを増すイスラム系政党の設立を禁止するなど、ムバラク政権の基盤強化につながる内容。野党と市民団体は強く反対して投票ボイコットを呼びかけ、投票率は27.1%と低迷した。

 複数の市民団体や野党は独自集計から、投票率を「数%台」とし、公式発表よりさらに低かったと主張。ボイコットを呼びかけたイスラム系最大野党ムスリム同胞団のハビブ副団長は、投票率が2〜5%だったとして「エジプト人は警察国家づくりを拒否した。政府が市民の要望に耳を傾けるまで、運動はやめない」と語った。

 改憲により、当局はテロ容疑であれば令状なしで市民の拘束や捜索、盗聴ができるようになる。宗教に基づいた政党の設立は禁止され、88議席を持つムスリム同胞団は候補の擁立が難しくなる。「改革のために改憲が必要」とするムバラク大統領に対し、野党側は「ムバラク氏が次男に将来、政権を移譲するための準備」としていた。

 エジプトでは選挙や国民投票のたびに政府の干渉や操作がうわさされ、市民の不信感は根強い。改憲を「民主主義の破壊」と批判するカイロ・アメリカン大のハッサン・ラガブ教授(政治学)は「仮に投票に行き、反対票が賛成を上回っても、結果を操作されれば意味がない。意思表示の方法は棄権しかなかった」と話した。

http://www.asahi.com/international/update/0328/002.html