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2007年03月28日(水) 00時00分

「心のともしび」求める声に 「筋肉少女帯」復活朝日新聞

 「踊るダメ人間」「元祖 高木ブー伝説」などで90年代に人気を呼んだロックバンド「筋肉少女帯」が8年ぶりにライブを再開、奇っ怪な世界観全開のベスト盤も発表した。今後の活動は未定だが、ボーカル大槻ケンヂは新作に意欲も見せる。

◆成功させたい熟年「がんばれソング」

 80年代後半〜90年代初頭のバンドブーム。88年デビューの筋肉少女帯は波に乗り、武道館公演も果たした。だが、メンバー間の音楽性の違いなどを理由に、98年に活動休止へ。

 この間、大槻のもとには、ひきこもりやニートなどの若い世代から「筋肉少女帯は、おれの気持ちを歌ってくれている」といった声が届いたという。「少女帯は、世の中とうまく渡り合えない人の『心のともしび』だった。そんな層はいつもいて、その生活や心中は変わらないんでしょう」

 大槻も暗く、内向的でオタクな少年だった。ロックが、自分と隔絶した社会を結び付けた。その思いは大槻の書く歌詞に表れた。14日発表のベスト盤「大公式」の収録曲は「踊る〜」や「元祖〜」のほか、「日本印度化計画」「僕の宗教へようこそ」……。ユーモアと苦悩が、ない交ぜの世界がそこにある。

 文筆やタレントなどで幅広く活動する大槻が、再び少女帯に目を向けたのは、タイムトラベルが題材の小説を書いたことがきっかけだった。「SFでいうパラレルワールドを生きてみたかった。少女帯の人気が出始めた20代前半に、現在の知識や経験を加えたら、自分史はどうなるか」

 昨年12月の再結成ライブは約2000枚のチケットに10倍以上の応募があった。新作も期待される。今後は未定と言うが、「人生の折り返し」という40歳に達した自分を踏まえ、書きたい題材をあげた。「中年や熟年への『がんばれソング』はことごとく失敗している。それをロックバンドとして初めて成功させたい」

http://www.asahi.com/culture/music/TKY200703280262.html