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2007年03月27日(火) 01時42分

古新聞持ち去り業者に無罪判決…区条例は違憲と指摘読売新聞

 東京都世田谷区でごみ集積所から古新聞を勝手に持ち去ったとして、区清掃・リサイクル条例違反の罪に問われた足立区や横浜市の古紙回収業者5人に対する5件の判決が26日、東京簡裁であり、同簡裁は5人全員に無罪(求刑・罰金20万円)を言い渡した。

 2人を無罪とした松本弘裁判官は「条例は、どこがごみ集積所か定義があいまいで、不明確な規定で刑罰を与えることを禁止した憲法31条に違反する」と指摘。他の3人を無罪とした堀内信明裁判官は「廃棄物処理法には一般廃棄物の持ち去りに関する罰則規定はない。廃棄物の持ち去りを無条件に禁止し、罰金を科すのは同法に違反しており、地方自治体の条例制定権を逸脱している」と述べた。

 弁護人によると、古新聞などの持ち去りに罰則を定めた条例は、千葉県柏市や埼玉県草加市などでも制定されており、世田谷区条例が違憲・違法とされたことで他の自治体にも影響を与えそうだ。

 判決などによると、世田谷区は2003年12月、同条例を改正、「一般廃棄物処理計画で定める所定の場所」に置かれた資源ごみを、警告や禁止命令を無視して持ち去った場合、20万円以下の罰金を科すとの罰則を定めた。区は04年7月〜05年2月、業者13人を同条例違反で告発。13人は略式起訴され、1人は略式命令を受けたが、12人は無罪を主張して公判が続いていた。

 ごみ問題に詳しい早稲田大学の寄本勝美教授は、「日常的に使われている集積所の場所は明らかで、その定義を問題とする判決は形式的だ。回収が容易な場所だけしか回収しない不正な業者を認めてしまえば、リサイクルシステムが危機に陥る恐れもある」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070326i115.htm