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2007年03月27日(火) 00時00分

能登半島地震 余震続き募る不安朝日新聞

負傷1人増え計13人

 能登半島地震で震度5弱を記録した県内は、26日午前にも震度3を記録するなど余震が続いた。けが人は新たに1人増えて重傷1人、軽傷12人の計13人になったほか、氷見市の要請を受けた県は「被災建築物応急危険度判定士」を現地へ派遣し、地震による建築物の被害状況を調べた。

 高岡市消防本部によると、同市伏木地区の女性(75)が25日朝に自宅で転倒し腰を打撲していたことが26日、わかった。また富山市防災対策課によると、同市寺津の坂元行雄さん(66)宅裏の石積みに長さ約6メートルの亀裂が入り、一家3人が25日午後8時ごろから近くの公民館に自主避難した。26日夕、安全が確認され帰宅した。

 また26日正午ごろ、南砺市利賀村新山の国道156号わきののり面のコンクリートにひび割れが見つかり、午後7時に全面通行止めになった。

 県が26日午前9時から開いた危機管理連絡会議で、工場への影響も報告された。中越パルプ工業の能町工場(高岡市)で25日、地震で停止していた作業を再開させようとしたところバルブ操作を誤り、でんぷん溶液約1トンが赤堀川に流出した。回収され、水質への影響はないという。

 日産化学工業の富山工場(富山市)では25日、ガラス製設備の一部が破損し、硫酸約50リットルが設備の外側を覆う防液堤内にもれたという。富山市が26日、立ち入り調査をしたところ硫酸はすべて回収され、施設外への漏れはなかったという。

 国の重要文化財にも被害があった。県教委によると、高岡市関本町の瑞龍寺の「大茶堂」の壁に約30センチの亀裂が入ったほか、同市太田の「武田家住宅」の壁の一部がはがれ落ちたという。

◇建物の危険度判定 氷見で県内初

 氷見市は26日、能登半島地震で被災地の余震などによる被害を防ぐため、建築物の応急危険度判定を県に要請、揺れの強かった同市姿地区の全73戸の巡回診断が始まった。判定は阪神大震災後にできた制度で、県内では初めて実施。余震の続く中で住民らが不安そうに見守った。

 この日は県高岡土木事務所の応急危険度判定士ら5人と市職員3人が3班に分かれて巡回を開始。建物の外観などを調べ、余震による建物の倒壊の危険性や、落下物などによる危険性について情報を提供した。建物内が「危険」とされる赤紙が2件のほか補修などが必要な「要注意」の黄紙が11件、被災程度が小さい「調査済み」の緑紙が20件あった。ほかに宅地の赤紙が1件あった。

 姿地区は同市北部の海岸沿いにあり、今回の地震では揺れが強く、外壁がはがれ落ちたり雨戸のガラス戸が外れて破損したりしてビニールシートなどで覆ったままの住宅が目立つ。補修を検討する家屋もあった。

◇支援へ融資・義援金・・・

 北陸銀行は26日、能登半島地震の被災者向けの「被災者応援ローン」の取り扱いを始めた。住宅、リフォーム、マイカーの3種類で、各ローンの最優遇金利を適用するという。

 融資対象は能登半島地震で被災した個人で、受付期間は7月31日まで。被災証明書などの書類は必要ない。融資金額は住宅ローンが1億円以内、リフォームローンが10万円以上1千万円以内、マイカーローンが10万円以上500万円以内。地震で被害を受けた法人、個人事業主向けに復旧緊急融資も取り扱う。融資金額は10万円以上5千万円以内で最優遇金利を適用し、7月31日まで受け付ける。

 富山第一銀行も、被災した事業者への融資「ファーストサポート」を能登半島地震の被災事業者に適用する。融資限度額3千万円。最優遇金利が適用され、元金の返済が最長1年間据え置かれる。

 北陸電力は、災害救助法が適用された石川県7市町やその隣接地域の被災者から申し出があれば、電気料金の支払期限延長や臨時工事費の免除などの特別措置をとる。県内の対象地域は氷見市。問い合わせは0120・167540。

 また、県共同募金会は27日〜9月28日、「能登半島地震災害義援金」を募集する。送金先は北陸銀行県庁内支店普通口座「県共同募金会特別会計」で口座番号は1052380。問い合わせは076・431・9800へ。

 同会によると、義援金は石川県共同募金会などで構成される義援金配分委員会へ集められ、被災者に配分される。

http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000000703270003