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2007年03月27日(火) 17時57分

中ロ首脳、エネルギー協力に足踏み 米の一極集中は牽制朝日新聞

 ロシアのプーチン大統領と中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席は26日、モスクワのクレムリンでの首脳会談後、北朝鮮やイランの核問題での協力推進などを盛り込んだ共同声明に署名した。共同声明は、米国による一極支配を牽制(けんせい)するなど、国際社会での蜜月ぶりを誇示する内容となった。一方で、昨年のプーチン大統領訪中時の目玉だったエネルギー協力は、大きな進展が見られなかった模様だ。

中ロ首脳会談が開かれたモスクワで26日、中国との文化交流プログラムの始まりを祝う記念式典で握手を交わすロシアのプーチン大統領(右)と中国の胡錦濤国家主席=AP

 共同声明は、地域や多国間の主要な問題で両国の立場が「一致しているか、近い」と指摘。今後も「戦略的な協力関係の深化」を継続するとしている。「世界の文化や文明の多様性の維持」や「紛争や危機の国際法に沿った対話を通じた解決」など、米国による価値観の押しつけや単独行動主義を暗に批判する表現も随所に盛られた。

 北朝鮮の核問題、イランの核問題のいずれについても、「平和的な対話を通じた解決」の必要性を強調、米国などの将来の軍事行動への警戒感をにじませた。

 一方、昨年3月のプーチン大統領訪中時の共同声明に盛り込まれた「ロシアから中国への石油と天然ガス供給のためのパイプライン計画」については、今回の声明では触れられておらず、計画が停滞していることがうかがわれる。

 中国側が今回の首脳会談を機に強く求めていた東シベリアと日本海を結ぶ石油パイプラインから中国・大慶に支線を引く計画についても具体化に向けた合意を得られなかった模様だ。背景には、ロシア国内での新規油田、ガス田開発の停滞があると見られる。

 2国間協力としては、▽今年末までの国境線画定作業の終了▽ロシア極東と中国東北部での地域間貿易経済協力▽中国の化学工場によるアムール川汚染事件に教訓を得た水質監視態勢の継続——などが盛り込まれた。

http://www.asahi.com/international/update/0327/009.html