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2007年03月27日(火) 00時00分

軽薄だが理性的「モダンな個性」 植木等さん死去悼む声朝日新聞

 植木等さんの死去を悼む声が各界から寄せられた。

67年、テレビのリハーサル室で江利チエミさん(左)とダンスのけいこをする植木等さん

 「シャボン玉ホリデー」などで共演したなべおさみさんの話 本当に可愛がってもらいました。一昨年のナベプロ50周年のイベントでお会いしたのが最後。「おうおう、なべ、年とらねえな」って声をかけていただいて……。植木さんが画面にポンと出てきて、ウハハハハと笑うだけで、見ている人誰もが瞬間的に明るい気持ちになれました。

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 映画評論家・佐藤忠男さんの話 彼が演じた「無責任男」は日本の高度成長期の気分の象徴。「むちゃくちゃだが面白い時代が始まるぞ」と予感させた。当の本人はいたって冷静で、全盛期にも「思いっきり軽薄に振る舞ってますが、これでいいんですかね」などと言っていた。根はまじめな人で、反戦運動で逮捕された父を誇りにしていたのが印象に残る。軽薄だけれど理性的という、日本には珍しいモダンな個性の持ち主だった。

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 演出家、宮本亜門さんの話 僕が89年に初めて大劇場を演出したミュージカル「エニシング・ゴーズ」に出てもらいました。駆け出しの僕の言うことをすべて聞いてくれました。あのベテランの大スターが毎日けいこ場に2時間早く来て、若いダンサーに交じって自主的にけいこをしていた。舞台上では何の努力もしていないように振る舞いながら、裏では身を粉にしている。これがショービジネスの精神だと教えられました。

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 クレージーキャッツの仲間の犬塚弘さんの話 つらいですよ。夫婦のように連れ添ってきましたからね。クレージーはハナ肇が作り、植木が入ってぐっと幅が広がった。表向きは、大きな声で笑って「無責任」だなんて言ってましたが、まじめな、素晴らしい人でした。この時代、80歳なんて早いですよ。

http://www.asahi.com/culture/news_entertainment/TKY200703270447.html