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2007年03月27日(火) 21時56分

シンドラー社、昇降機検査資格を不正取得 実務歴を詐称朝日新聞

 東京都港区で昨年6月、死亡事故が起きたエレベーターの製造元「シンドラーエレベータ」(東京都江東区)の社員53人(うち退職者9人)が、実務経験が必要年数を満たすように経歴を詐称し、法定の定期検査を行うのに必要な昇降機検査資格を不正取得していたことが27日、分かった。新潟県三条市の保守会社「ハイン」も14人(同1人)が同様に詐称していた。

エレベーターの定期検査報告の流れ

 国土交通省はこの67人の資格を26日付で失効させた。さらに、会社ぐるみの経歴詐称とみて、失効者が法定検査した両社の各約1300台の再点検を指示する。他社にも自主点検を指示する。

 昇降機検査資格は、各エレベーターが毎年1回受ける法定検査の責任者に必要な資格。67人の経歴詐称は、1月下旬〜2月初め、国交省などに匿名の情報提供があり、資格者講習を行う日本建築設備・昇降機センターが本人や会社に聞き取り調査をして判明した。

 資格者講習を受けるには、学歴に応じて2〜11年(00年度までは3〜15年)の実務経験が必要で、申込書には所属企業の責任者が実務経験を証明する欄がある。

 両社の失効者は、入社年を実際よりも古く偽り、営業職なのに技術職を装うなどしていた。中には実務経験ゼロなのに、15年以上と虚偽申告した例もあった。調査には、「上司の指示だった」「自分は書いた覚えがない」などの証言が出ている。

 正規の資格者と失効者を合わせた総数はシンドラー社が183人(うち退職者25人)、ハイン社が24人(同2人)。詐称の期間は、シンドラー社が前身の日本エレベーター工業時代も含む87〜03年度、ハイン社は01〜06年度に及んだ。

 一方、死亡事故があった港区の公営マンションは、98年4月〜05年3月にシンドラー社が保守点検を請け負ったが、当時は制度上、自治体所有の建物は法定検査が不要だった。

http://www.asahi.com/national/update/0327/TKY200703270462.html