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2007年03月26日(月) 21時10分

断水なお5千戸以上、復旧めどたたず 能登地震朝日新聞

 能登半島を襲った今回の地震では、電気と水道で復旧に大きな差がついた。16万戸が停電したもののまもなく送電が再開された電気に対し、水は約1万戸が1日過ぎても断水したまま。5000戸以上はまだ断水が続いている。水道管が地中にあるため漏水が発見しにくいことに加えて、自治体の財政難も影を落としている。

地震から一夜明け、給水車から水をくむ人たち=26日午前7時9分、石川県輪島市門前町道下で

 北陸電力によると、地震発生直後、石川県内で11万戸、富山県内では5万戸が一時停電した。中能登変電所の保護装置が働き、送電がストップしたためだが、別ルートで送電が回復。富山県内では2分以内に、石川県の大半では10分程度で復旧した。

 一方、石川県水環境創造課のまとめでは26日午前11時現在で、輪島市など2市2町、9550戸で断水。震源に近かった輪島市、志賀町の断水世帯は全体の8割に達した。午後2時現在になっても5610世帯で断水が続いている。

 被害の集中した門前地区では、本管5カ所(直径約25〜30センチ)の修復を26日未明に終えたが、新たに2カ所の破損がわかり、復旧のめどは立っていない。

 七尾市中島町では、地震で水道管が破断し、各地で水漏れが相次いだ。配水池が枯渇する恐れがあるため、市は25日夕方から26日朝にかけて、同地区内約900戸への給水を止めた。

 市中島支所によると、26日朝までに破断が確認されたのは12カ所。配水池の水量が通常の3分の1程度に減り、断水を決めたという。26日朝、水量が回復したのを確認して配水を再開したが、水道管が破断した現場周辺では断水が続いた。

 水道が止まったままの谷口正昭さん(47)宅では、いくつものたらいやバケツに水をため置き、食器洗いなどに使っている。谷口さんは「にごっているけれど、無いよりまし。説明も無く水をとめられたので困った」。

 一時は720世帯が断水した穴水町では、浄水場と水源の山王川を結ぶ導水管(約2キロ)の5カ所が破損した。町によると、導水管は40年ほど前に敷設された。老朽化に加え、コンクリート製で、地震に弱いとの指摘もあるため、近く交換を予定していた。だが、別の石綿管の交換に追われ、厳しい財政事情もあって結果的に対策が後手に回った。町の担当者は「地震が来たらまずいな、とは予想していたのだが……」と声を落とした。

 町内唯一の総合病院である公立穴水総合病院でも断水が続く。26日を原則休診に。約20人の透析患者は、隣接する市町の病院へ振り分けた。25年前に敷設された水道管の交換の必要性が指摘されていたが、厳しい財政事情の中で対策は遅れていたという。

 04年10月23日に起きた中越地震では、新潟県内を中心に延べ約30万世帯が停電し、約13万世帯が断水した。被害が大きかった小千谷市では、市街地の上下水道は約3週間後に復旧したが、山間部で復旧したのは約8カ月後の05年7月だった。

http://www.asahi.com/national/update/0326/OSK200703260152.html