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2007年03月26日(月) 20時59分

古紙持ち去り、業者無罪 東京簡裁「罰則の根拠不明確」朝日新聞

 東京都世田谷区のごみ集積所から無断で古新聞を持ち去ったとして同区清掃・リサイクル条例違反の罪に問われた回収業関係者5人に対し、東京簡裁は26日、いずれも無罪(求刑罰金20万円)とする判決を言い渡した。同簡裁は集積所が明示されていないことや、区の関連団体の回収業務独占を「独占禁止法違反の可能性がある」と指摘。「根拠が不明確な規定で刑罰を科すことはできない」「刑罰としてあいまいで違憲だ」と判断した。東京区検は控訴する方向で検討している。

 区は03年、条例改正で持ち去りを禁止し、違反した場合は20万円以下の罰金と定めた。全国的にも先駆的な試みで、罰則を定める地方自治体がその後相次いだ。世田谷区の熊本哲之区長は「区民から取り締まりの強い要望がある。無罪判決は極めて残念で、納得できない」とのコメントを出した。

 この日は、同簡裁の2人の裁判官が足立区などの古紙回収業者5人に判決を言い渡した。

 このうち堀内信明裁判官は「刑罰を科す以上は犯行場所を明確に公示するべきだ」と述べた。区内に約5万カ所ある集積所では、看板設置を嫌がる周辺住民も多く、区担当者の説明がないと位置の把握も難しい。犯罪の構成要件となる犯行場所をあらかじめ示せない以上、罰則を設けること自体が許されないと指摘した。また、松本弘裁判官は「刑罰としてあいまいで違憲だ」と述べた。

 さらに、区の関連団体「世田谷リサイクル協同組合」に古紙回収を随意契約で独占発注している点に言及。罰則を設けて他業者を排除する必要があるか疑問だとした。

http://www.asahi.com/national/update/0326/TKY200703260292.html