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2007年03月26日(月) 13時44分

中国人強制連行訴訟、宮崎でも原告側敗訴朝日新聞

 第2次世界大戦中に中国から連行され、宮崎県日之影町の槙峰(まきみね)鉱山で強制労働させられたとして、元労働者の中国人と遺族の計13人が、国と三菱マテリアル(本社・東京)に1人2300万円、総額1億8400万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が26日、宮崎地裁であった。徳岡由美子裁判長は、賠償請求権はすでに消滅しているとして原告側の訴えを棄却したが強制労働の事実は認定。さらに、「強制連行・強制労働は、国策として遂行した人道に反する犯罪的行為だった」として国側主張の「国家無答責」は退けた。

 戦中の中国人の強制連行・労働の責任を問う訴訟は全国で14件。東京高裁が今月14日に新潟地裁判決を取り消し、最高裁が企業の責任を認めた広島高裁判決を見直す可能性が高まるなど、最近は原告側に厳しい判断が続いている。

 この日の原告は、中国・山東省出身の77〜92歳の元労働者7人と、死亡した元労働者1人の遺族6人。

 主な争点は、旧憲法下では国は賠償責任を負わないとする「国家無答責」が適用されるかどうかと、この問題で不法行為の時から20年で請求権が消滅する民法の「除斥(じょせき)期間」や「時効」が成立するかどうか、だった。 判決は「国家無答責」の法理は退けたが、「除斥期間」を適用。原告の賠償請求権は消滅しているとした。一方で、「日本の重工業部門での労働力不足を補強する目的で、日本に強制的に連行され、槙峰鉱山で過酷な労働を強いられた」とする原告側の主張は採用した。

http://www.asahi.com/national/update/0326/SEB200703260007.html