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2007年03月26日(月) 05時56分

「旅館再開難しいかも」 穴水町中心部に地震被害集中朝日新聞

 石川県輪島市の南にある人口約1万人の穴水町。古い木造家屋が集まる町中心部にある、のと鉄道穴水駅周辺に被害が集中している。道路は各地で亀裂が入り、隆起したところも。全体が傾き、壁が崩れ落ちた家屋がいたるところで見られた。能登半島の温泉地では、春休みに入った直後の地震に肩を落とした。

避難所となっている林業センターの前には給水車が到着し、住民らが水を求めて集まっていた=25日午後6時27分、石川県穴水町で

 「情けないぐらい壊れちゃったわ」

 穴水駅近くの旅館「宮森荘」のおかみ宮森つね子さん(59)は、壁がはがれて傾いた2階建ての旅館を見ながら、そうつぶやいた。

 旅館の洗濯場にいたとき、下から突き上げるような強い揺れが襲った。その場に座り込み、とにかく揺れが止まるのを祈った。棚やタンスが全部倒れた。客室のテレビも投げ出されたように倒れていた。

 開業から約60年。出張で訪れた人を中心に利用してくれていた。宮森さんは「旅館の再開も難しいかもしれない。残念だけど、仕方ない」。

 過疎化が進む同町では生徒数の減少から学校の統廃合が進み、町立向洋中学校が今年度で閉校する。学校の最後の行事となる閉校式の約20分前に、地震が起きた。

 79人の生徒は、式典のために合唱の練習を繰り返し、式場の飾り付けも済んでいた。閉校記念のアルバムも生徒が手作りで作製。卒業式と終業式も終わり、あとは閉校式を残すのみだったが、式は中止となった。生徒はすぐに前庭に避難し、そのまま下校させた。

 今後被害が広がらなければ、29日に改めて式典を開く予定だ。

 同校の加代等教諭は、「まさか式の直前にこんなことになるとは思わなかった。小さい式でもいいので、なんとか学校の歴史に一つの区切りをつけたい」と話した。

http://www.asahi.com/national/update/0326/OSK200703260001.html