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2007年03月26日(月) 00時00分

能登地震被災地ルポ…商店街壊滅、蔵もつぶれZAKZAK

 警察庁の午前11時半現在のまとめによると、石川県内では死者1人のほか、重軽傷者が192人に増えた。けが人は富山県の12人、新潟県の4人と合わせ、計208人になった。

 建物被害は石川県で全壊72戸、半壊144戸。一部損壊は同県で388戸、新潟と岐阜両県で計5戸に上った。


給水車には水を求める長い列ができた=26日午前7時44分、輪島市門前町 輪島市では中心部の河井町、市街地から約20キロ南西の門前町、道下(とうげ)地区など、海岸に近い住宅密集地で被害が集中した。

 中でも門前町では総持寺に続く風情ある商店街が壊滅状態に。ショーウインドーの窓ガラスは粉々に割れ、道路に散乱。完全に倒壊した家屋も多く、がれきがはみ出し、道路を塞いでいる危険な個所も複数あった。酒造所が全壊し、甘い麹の香りが一面に漂う場所も。同町黒島地区にある北前船の船問屋で県指定の文化財「角海家」も半壊状態となっていた。

 付近を歩くと、突然、余震が始まり、グラッと横に揺れる。同時に半壊の家屋からはミシミシと柱がきしむ音が響き、あちこちから住民が路上に飛び出してきた。26日午後1時45分ごろには再び強い横揺れを伴う余震。地元の人は「またか」という声が漏れた。午後2時46分には、能登で震度5弱の強い揺れを観測した。

 「蔵も家もすべてつぶれてしまった。築100年近い家でした。中にいたら危なかった…」というのは、近くに住む瀬戸静枝さん(75)。瀬戸さんは偶然、寺へお参りに行っていたため、難を逃れたという。


朝市も中止となり、呆然と倒壊した家屋を見つめるおばちゃんたち=26日午前、輪島市河井町 「25日はお祭りの予定だったのに」と話す池端香さん(35)は5歳、3歳、2カ月の子供を連れて避難所に来た。「とにかく余震が怖い。この子は母乳で育てているが、食事ができないと母乳も止まってしまう」と不安そうに話す。

 26日朝、普段は海産物の行商や観光客で埋め尽くされる輪島市河井町の朝市通りも人の姿はまばら。「1里離れた山の方から来た」という農家の女性(78)ら3人だけが、「こんなに寂しくなっとるとは思わなかった」と嘆きながら、大根やふきのとうを売っていた。

 7代前から輪島塗の製造・販売を営む市中屋本店の女性は「安くて1点1万円からの輪島塗が100点ではきかないぐらい被害が出た。全部、塗り直しが必要。生活がかかっているが、余震で頭が真っ白です」と声を詰まらせた。 

ZAKZAK 2007/03/26

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007032622.html