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2007年03月26日(月) 00時00分

音に情感たくす 「エリザベート」作曲者に聞く朝日新聞

 宝塚と東宝の上演で人気の高いミュージカル「エリザベート」の本家ウィーンのキャストが初来日し、28日から公演する。4月30日までは大阪・梅田芸術劇場で。5月7〜20日は東京・新宿コマ劇場で舞台セットのない「コンサート版」を公演する。ダイナミックな物語と共に、流麗な音楽が魅力の作品。作曲したシルベスター・リーバイに聞いた。

「作品ができたらしばらく温めて、練り込みを繰り返し、完成するまで4、5年かかります」とシルベスター・リーバイ=東京都内で

 19世紀末のオーストリア皇妃エリザベートが、幼少の頃から黄泉(よみ)の帝王トート(死)に愛され、寄り添われていたという奇抜な設定のもと、その波乱に満ちた生涯を描く。

 リーバイは脚本・作詞のM・クンツェと共にコンセプトを定めた上で、ストーリーよりも先にそれぞれのキャラクターに合わせた曲を作り、それを基に全体を構成していったという。

 「よいミュージカルの条件は、物語がしっかりしていることと、特徴ある人物を描くことだと思う。エリザベートは強い女性である一方、死に関する詩も残しており、興味がかき立てられた。人間としてのエリザベートをモダンな音楽で表現したかった」と語る。

 皇太后のいいなりになっている夫の皇帝フランツに失望した場面でエリザベートが歌う代表曲「私だけに」は、同じ音型を執拗(しつよう)に繰り返すのが特徴だ。

 「同じ音型がだんだんと高くなってゆき、歌っているうちに、少女から大人の女性へと成長してゆくイメージです。自立しなければならないという意思を表現しています」

 フランツと出会った時にデュエットする「あなたが側(そば)にいれば」と、終盤に年老いた2人が再会した場で心のすれ違いを歌う「夜のボート」は同じ旋律だ。

 「このメロディーは2人の愛のテーマ。この曲で愛し合い始め、この曲で別れてゆくんです。編曲も最初は軽く、終盤では重くして対比を出しました」

 音楽の中にドラマ性が濃密に織り込まれている。「喜びや愁いなど、人物のさまざまな情感を音に託しています」

 大阪公演は1万6000〜7000円。電話06・6377・3800(劇場)。東京公演は1万3千、1万円。電話03・3200・2213(劇場)。宝塚雪組も5〜8月に、兵庫県宝塚市と東京で上演する。

http://www.asahi.com/culture/stage/theater/TKY200703260192.html