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2007年03月26日(月) 00時00分

「ほれたはれたもロック」 斉藤和義が新作発表朝日新聞

 ロック歌手の斉藤和義が出会いから結婚までをテーマとしたアルバム「紅盤(べにばん)」を21日に発表した。人気作家と共同作業をした曲や、ジョン・レノンや沢田研二のカバーなど、いつもの自作自演と色合いの違う作品に。喜び、嫉妬(しっと)、不安。恋愛の宿す様々な感情を表したラブソング集となった。

 幕開けの「ベリーベリーストロング」は作家の伊坂幸太郎との「共作」だが、手法がちょっと変わっている。斉藤のファンだという伊坂がアルバムのために、まず短編小説を書き下ろし、それを元に斉藤が詞を書きあげた。都会の雑踏で出会った男女の会話やしぐさを、まくしたてる歌唱になるまで言葉を詰め込み、躍動する演奏に乗せた。

 「入れたい場面がいっぱいあって、20番くらいまでできそうだった」

 アルバムのきっかけは、他人に初めて詞を提供してもらったCM曲「ウエディング・ソング」。コピーライターの一倉宏が詞をつけ、アルバムの最後に置いた。それまで自作自演にこだわりがあったが、この曲の制作過程が新鮮だった。

 「いつもは曲が先行するが、詞を見ながら、ギターなど持たずに鼻歌でまずメロディーをつけた。ギターを弾くと、手クセでよく使うコードが自然に出てしまうけど、今回は言葉に呼ばれるメロディーになった」

 アルバムには他に、〈ジャンガランガ〉というフレーズが耳に残る森雪之丞の作詞曲や、〈メールしても返信がない〉といった、今どきの言葉で日本語詞をつけたジョン・レノンの「ジェラス・ガイ」、「スローなブギにしてくれ」「真夏の果実」のカバーなど。恋愛の様々な状況を歌う曲を選び、出会いから結婚に至るまで、物語性のある流れを作り上げた。

 全編ラブソングにしたのは初めて。「こっ恥ずかしいところもあるけれど、ほれたはれたを正面きってやるのもロックなんだなあ、と思いました」

http://www.asahi.com/culture/music/TKY200703260177.html