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2007年03月26日(月) 00時00分

高松塚の鏡は中国製 X線分析で成分比ほぼ一致朝日新聞

 奈良県明日香村の高松塚古墳(7世紀末〜8世紀初め)から出土した青銅製の海獣葡萄(ぶどう)鏡(国重要文化財、直径16.8センチ)が、同時期の中国製鏡と同じ成分比の鉱物でできていることが、奈良文化財研究所飛鳥資料館(同村)の分析でわかった。文様などから700年前後の中国・唐の製品との見方が有力だったが、それを補強するデータ。被葬者推定の鍵にもなりそうだ。

 飛鳥資料館は昨秋、72年に出土した鏡のX線分析を実施。その結果、銅71%、スズ22〜24%、鉛3〜4%であることがわかり、成分比は、唐からの輸入品とみられる奈良・正倉院の鏡や中国出土とされる他の鏡と、ほぼ合致した。

 高松塚古墳の海獣葡萄鏡は、697年に没して翌年埋葬された唐の高級官僚、独孤思貞(どっこしてい)の墓(中国・西安市)の鏡と同じ鋳型で作られたことが、すでにわかっている。このため、直後の702年に派遣された遣唐使が704年の帰国時に持ち帰ったとする説が有力だ。

 今回の結果はこれを裏付け、高松塚の被葬者が、遣唐使のもたらした文物に触れられる高位の人物である可能性が強くなった。

http://www.asahi.com/culture/news_culture/OSK200703260154.html