２５日、石川県で発生した能登沖地震は、県内でも刈羽村で最大震度５弱を記録し、十日町市で男性が階段から転落するなどし４人がけがをした。また上越新幹線も一時新潟—越後湯沢間で運転を見合わせ交通機関にも大きな影響が出た。２年半前の中越地震を思わせる中山間地を襲った揺れ。当時の経験を生かした救援に当たりたい、恩返しをしたいと、県内からボランティアや県職員たちが現地へ向かっている。
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小千谷市から救援に出掛けたのは、中越地震で被災した住民と同地震で縁ができた神戸市などのボランティアの計４人。地震発生の１時間後には車３台で出発、午後４時過ぎには石川県七尾市に到着、被害の大きい輪島市に向かった。
中越地震では道路が寸断され孤立集落が多数できたことから、４人は２５日、輪島市役所で情報収集に当たり、窓口となるボランティアセンターの立ち上げを市に促した。自らも中越地震で被災した小千谷市の重機業男性（４７）は「中越地震の時は外からボランティアが来て、手伝ってくれた。だから、今度は自分たちが行く」と、少し照れながらも話した。
新潟市の建築家、長谷川順一さん（４６）は２６日夜にも被災地へ向かう。中越地震では被災した家屋の修復や保存にかかわってきた。「被災者は、全壊と判定されれば自宅を壊すしかないと思う。が、修理できる家も多く、直せば住めるということを被災地で伝えたい」と、ホームセンターでも売っている「つめジャッキ」や鋼鉄製「サポート棒」を持って行く。
行政も動いた。県危機管理防災課はこの日午後１時半ごろ、課員３人を石川県災害対策本部へ派遣。長岡市の職員とも合流して独自の情報収集を行い、支援策などを検討する。
県警は中越地震での警備経験のある隊員を中心に編成した広域緊急援助隊７５人、車両１５台、衛星通信車１台、県警ヘリ「こしかぜ」などを現地に派遣した。
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●刈羽で震度５弱
県内では刈羽村で震度５弱を観測したほか、糸魚川市、上越市、十日町市や新潟市の一部地域で震度４を観測。揺れで驚いた十日町市松之山の８０歳男性が、自宅階段から転落して鎖骨骨折の重傷を負ったほか、同市と糸魚川市で３人が打撲などの軽傷を負った。
また、けがには至らなかったが、中学生バレーボール大会が開かれていた上越市三和区の三和体育館で、天井のウレタン製パネル（縦１メートル、横１・４５メートル、重さ約１キロ）６枚が落下した。
当時、市内外の１０校の生徒約２００人がいたが、パネルの落下がゆっくりだったことと、教師らが揺れと同時に生徒を避難させたため、大事には至らなかった。大会は天井パネルを撤去後、再開された。また、同市内の県立吉川高校でも外壁にひびが入った。
新潟市内野町の公衆浴場「旭湯」では、浴場の天井から長さ約３メートルの木枠が落下した。湯気を外に出すため吹き抜けになった部分の木枠で、営業時間外で入浴客はいなかった。
県のまとめでは、糸魚川市京ケ峰の住宅１棟でガラス戸１枚が破損、同市大野の住宅２棟で屋根瓦が一部落下した。
妙高市田町にある、けいなん総合病院では一時断水した。同市上新保の特別養護老人ホーム・みなかみの里ではエレベーターが一時停止した。
佐渡島では地震後、佐渡西、佐渡東両署のパトカーが海沿いの佐渡一周線を走り、水位上昇などを警戒した。小木地区の会社役員（６２）は「置き時計が落ち、食器棚のコップも倒れた。大地震が起きなければいいが…」と不安げだった。
０４年の中越地震で震度６強を記録した旧小国町（現長岡市）では、今回震度４を観測した。長岡市小国支所地域振興課の岩野守男課長補佐は「横揺れが長く気持ち悪かったが、下から突き上げてきた中越地震とは違うなと思った」と話した。
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●新幹線や信越線運転見合わせ
地震発生と同時に、ＪＲ西日本は北陸線金沢—直江津間の列車の運転を見合わせた。ＪＲ東日本も上越新幹線で新潟—越後湯沢間の運行を同日昼過ぎまで見合わせた。このため東京発新潟行きの「Ｍａｘとき３１３号」が２時間５５分遅れた。
信越線長岡—黒姫間やほくほく線も一時運休した。地震発生時に走行中だった特急「北越２号」は上越市の黒井—直江津駅間で緊急停止。約３時間後の午後０時２０分に直江津駅へ到着し、改札口周辺は１００人近い乗降客でごった返した。
同列車に乗っていた永井紘さん（６５）は「かなりの速度で走っていましたから、停車してからぞっとしましたし、安堵（あんど）しました」。大阪府の大学生（２３）は「酔ってもいないのに、よろよろした。阪神大震災を経験しているけど、びっくりした」と話した。
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