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2007年03月26日(月) 00時00分

35市 予算拝見(下)朝日新聞

〜07年度当初予算から〜

●外国人との共生に力
教育や日常生活支援

 自動車産業など、県内で盛んな「ものづくり」を下支えしている日系ブラジル人ら外国人労働者が増える中で、外国人との共生をめざした取り組みに力を入れる市が目立つようになってきた。日本語が不自由な外国人の子どもたちの教育支援や生活適応のための支援など、新規事業でスタートさせたり、従来からの事業を、より拡大・充実させたりしている。

《小中校に通訳》

 外国人労働者の日本への定住化の傾向が強まる中で、日本語が不自由な外国人労働者の子どもたちの教育は、各市の大きな課題になっている。日本語が分からないために不就学になったり、日本の社会にとけ込めなかったりするのを予防するためだ。
 名古屋市は07年度から、市内の学校に日本語と外国語の両方を話せる「学習協力員」を配置する。中、港、緑3区に1人ずつ置き、1人当たり週30時間、日本語や学習のほか、生活文化への適応を指導する。豊明市も新規に小学校に学習指導員を派遣する。愛知教育大院生が放課後、日本語の日常会話を教える予定だ。
 日進市も小中学校2校に、新たに韓国語とタガログ語の外国語指導補助員(臨時職員)を置く。
 これまでの事業を拡充させる市も多い。
 春日井市は日本語教育講師の派遣を週10時間から12時間に増やす。安城市も小中学校に派遣するポルトガル語通訳を3人から4人に増やす。日本語教育担当や学級担任の助手を務めるという。
 母国語の指導講師を派遣している大府市は、07年度はポルトガル語の講師を8校、スペイン語講師を2校、中国語講師を3校に派遣する予定だ。
 小牧市も中国語とタガログ語の語学相談員の学校巡回を増やす。

《交流の場提供》

 外国人が住む地域などへの支援事業を打ち出したのは岡崎市など。
 同市の「外国人コミュニティ支援事業」は、岡崎ブラジル協会を立ち上げ、ブラジル人コミュニティーを育成するのが目的だという。
 「外国人市民会議の拡充」は、07年度から外国人に委員を委嘱した会議を定例化し、市への提言などをまとめてもらう。
 また、地域行事などの際にブラジル語の通訳をする「コミュニティ通訳員」を引き続き行う。
 豊田市の「国際交流サロン」(仮称)は外国人と国際交流ボランティアが自由に集える。海外の新聞や雑誌などを備え、情報交換や日本語講座イベントなどに使えるほか、各国の音楽などを紹介するステージも用意されるという。豊田産業文化センター内に6月の開設を目指す。

《多言語で冊子》

  ごみ出しのルールなど生活に必要な事柄を外国語で説明したパンフレットや、転入者に地域のガイドブックを配る市もあった。
 市内の外国人の半数以上が日系ブラジル人という常滑市は、町内会の仕組みやごみの出し方など生活に必要な手続きを説明した「生活支援冊子」を配っている。これまでは英語とポルトガル語だが、07年度から韓国語と中国語も加える。
 半田市は07年度から、同市に転入する外国人向けに、知多半島のガイドブックを配布する。ポルトガル語、英語、中国語、韓国語、スペイン語などを用意するという。
 豊明市はポルトガル語、英語、中国語版のガイドマップを作る。

          県内各市の主な「外国人共生」事業

名古屋市  ・学習協力員の配置(1095万円)
豊橋市   ・外国人児童生徒指導事業の拡充(7080万円)
      ・外国籍児童保育円滑化事業費補助金(100万円)
      ・ブラジル人学校「カンティーニョ」に助成(114万円)
岡崎市   ・外国人コミュニティ支援事業(100万円)
      ・外国人市民会議を拡充(34万円)
      ・コミュニティ通訳員(60万円)
半田市   ・市内に転入する外国人向けの知多半島ガイドブック配布(135万円)
春日井市  ・日本語教育講師の派遣を拡充
豊川市   ・外国籍の児童を受け入れる拠点小学校5校の整備(約260万円)
豊田市   ・「国際交流サロン」(仮称)の設置
安城市   ・小中学校のポルトガル語通訳を増員(869万5千円)
常滑市   ・外国人向けの生活支援冊子の韓国語、中国語版を作成(600万円)
江南市   ・外国人生児童の放課後学習指導補助事業(5万円)
小牧市   ・語学相談員の学校巡回を拡充
東海市   ・語学相談員を派遣(126万6千円)
大府市   ・母国語指導講師の学校派遣(100万円)
知多市   ・外国人同士のネットワーク組織への補助を増額(30万円)
岩倉市   ・外国人児童生徒向けに臨時講師を配置(562万円)
日進市   ・小中学校へ外国語指導補助員(臨時職員)を配置(9802万6千円)
      ・ペルーに関する講演会の開催(300万円)
豊明市   ・ポルトガル、英語、中国語版のガイドマップ作成(169万円)
      ・小学校への学習指導員の派遣(5万円)

※07年度当初予算から

http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000000703260008