記事登録
2007年03月26日(月) 00時00分

センキョ!してみる?〈中〉/07統一選朝日新聞

■公開討論会/政策比べ 意識的に選ぶ

 井原駅前にあるアクティブライフ井原のホールに24日夜、県議選井原市・小田郡区(定数2)に立候補を予定している3人が顔をそろえた。井原青年会議所(JC)が企画した公開討論会だ。

 3人は、少子化問題や医療福祉問題、地域活性化など、あらかじめ通知されていた六つの質問ごとに、一人3〜5分ずつ持論を述べた。会場の有権者らはそれぞれの発言にうなずいたり、メモをとったりしながら真剣に聴き入っていた。

 公開討論会に初めて参加したという井原市の会社役員男性(68)は「ビラだけでは候補者の考えは分からない。続けていけば候補者の質も上がるのではないか」と指摘。同市の主婦(57)は「意見は三者三様で、このテーマならこの候補、という違いが分かって面白かった。1人を選ぶのが難しくなった」と話した。

 「候補者の『顔』が見えず、政策を聴き比べる機会がなかったことが、有権者の選挙離れを加速させた」。井原JC理事長の河村益成さん(40)は、討論会を企画した理由をこう話す。

 JCのメンバーは、井原市と矢掛町の26〜40歳までの会社役員や会社員ら計20人。業界団体や仕事のしがらみで投票を頼まれることも少なくない。それでも、河村さんは「特定候補の後援会で活動せざるを得ない会員もいるが、みんな本音では政策をきちんと聴いて投票すべきだと考えている。特定の人だけが利益を得ることが繰り返されると、地域の力は衰退する」と力を込める。

 開催に際し、立候補予定者をいかに公平に扱うかに苦労した。事前に立候補予定者に質問項目を送る際も、3カ所に分かれて同時にFAX送信、電話連絡も同時にした。討論会当日は、席順、回答順ともくじ引きで決めた。地元のケーブルテレビも討論会の様子を収録したが、放送では3人の顔をアップにする回数も同じという徹底ぶりだ。

 今回の県議選では、市民団体を中心に、政務調査費や地球温暖化対策などについての公開質問状を立候補予定者に送り、ホームページなどで公開するところもある。候補者の政見を一方的に聞かされるのではなく、有権者側から候補者の見解をただし、投票の判断基準を提供しようという動きだ。討論会の開催もその流れの一つといえる。

 「実際に行政を動かすのは市民なのに、まだまだ『お任せ』という感覚が根強い。有権者一人ひとりがしっかりとした意識を持ち、意見を言えるようにならなければいけない」。河村さんはそう思っている。

http://mytown.asahi.com/okayama/news.php?k_id=34000000703260004