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2007年03月26日(月) 00時00分

地元候補引退 戸惑い朝日新聞

●変わる選挙区模様(下)旧1人区からの報告●
 西条市選挙区(定数4)
 24年ぶりの選挙戦誰に

  JR伊予小松駅前に立つ県議選のポスター掲示場。10人分が張れる横長の掲示板を見て、近くの男性は「選挙区が広くなって、久しぶりに投票ができるんだなと感じます」 と話す。

  前回までは、周桑郡区(1人区) で無投票が5回続いた西条市丹原、小松両町。今回は24年ぶりに選挙戦に突入しそうな情勢だ。

  同区は、今回引退を決めた自民現職の玉井実雄(79) が5期連続で無投票当選を重ねてきた。玉井は、東予園芸農協組合長で県議会議長を務めた実力者。無投票が続いた背景を「争いを好まない土地柄もあって、玉井さんに任せておけばいいと考えてきた」 と、丹原町の住民は分析する。

●現新5人予定● 

  丹原、小松を含む2市2町が04年11月に合併して誕生した西条市選挙区は定数4。前回までは定数2の旧西条市と、いずれも1人区の東予市、周桑郡の3選挙区に分かれ、前回はすべて無投票だった。

  合併から2年半近くがたつが、合併直後の市長選も無投票。05年4月の市議選は、旧市町ごとの4選挙区で争ったために、今回の県議選が選挙戦に入れば、新市全体で争う初めての選挙戦となる。

  自民の現職と無所属の新顔の5人が立候補を予定し、連日、支持者回りやミニ集会など激しい前哨戦を展開している。ただ、立候補予定者の地盤を地域別にみると、3人が旧西条、2人は東予。旧西条を地盤にする3人の中の一人は丹原町が出身地だが、労組を中心とする組織型の予定者で、丹原、小松両町を直接の地盤にしていない。

●住民に温度差●

  玉井の引退と共に地元県議がいなくなる両町だが、県議選に対する住民の態度には温度差がある。

  小松町の住民は「これまで玉井さんと決まっていたので、考えたこともなかった」 「選挙カーが走れば実感もわくのでしょうが、正直なところピンときません」 といった返事が返ってくる。

  一方、丹原町の住民は「合併して日が浅く、地域を第一に考える地元感情が強いだけに、丹原から玉井さんに代わる人を出したいと思っている人はある」 と指摘。「だが、声を上げている新顔がそれぞれ強いだけに、今回は様子を見ようということではないか」 と話す。

  西条市の面積は約509平方キロメートル。久万高原町、西予市に次ぐ県内3位で、松山市より広い。県政の大きな課題になっている県営西条工水の分水問題一つとっても、地域によって関心の度合いが違う。

  立候補を予定する各陣営は「人口も面積も倍以上になる。これまでのやり方では通じない。あいさつ回りだけでも大変」 と口をそろえる一方、玉井の引退で丹原、小松両町が票を奪い合う「草刈り場」 になるとみる。

  だが、住民にとっては久しぶりに選挙戦になったのに、強く推したい人がいないという事態が生まれそうだ。(敬称略)

(この連載は鈴木洋和、長尾大生、古川滋雄が担当しました)

http://mytown.asahi.com/ehime/news.php?k_id=39000000703260006